
出戻りで転職できる? メリット・デメリットや後悔する人の特徴
「出戻り転職」とは、「前職の職場への再入社」のことを指します。もともといた職場に戻るというとどこか後ろ向きな印象を受けたり、「転職先でうまくなじめなかったのでは?」と、周りに勘繰られそうで恥ずかしいと感じたりする方が多いかもしれませんが、企業によっては出戻り転職のことを「アルムナイ(卒業生)」と言い換えて積極的に採用したり、「ジョブリターン」と呼ばれる再雇用制度を導入したりと昨今では出戻り転職そのものが歓迎されるようになってきました。
出戻り転職には「転職活動の負担が少なくて済む」などのメリットが多い半面、「前回と同じ条件で働けるとは限らない」など、志望者にとってはデメリットも存在します。出戻り転職を成功させるためには志望動機や出戻り転職の方法を考慮した対策が必要となります。
この記事では「出戻り転職」についてのポイントを解説します。具体的には以下の内容です。
・出戻りとは「前職場への再入社」を指し、育児や介護による退職後の再雇用も含まれる
・出戻り社員のことを「アルムナイ」と称したり、企業によっては再雇用制度を「ジョブリターン」と呼んでいたりと、近年は出戻り転職そのものが歓迎されている傾向にある
・「出戻り転職」にはメリットもあればデメリットもあるため、成功させるためには対策が必要
それでは詳しく解説していきます。
出戻り転職とは?
「出戻り転職」とはその名の通り、転職などで一度会社を辞めた社員が前の職場に再び入社することを指します。転職のほかにも起業した場合や育児や介護などのようにやむを得ない事情で退職し、空白期間を経て元の会社に戻ってくる場合も「出戻り転職」に含まれます。
転職したものの、転職先の社風や業務内容に違和感を覚えた、独立して起業したけれど事業が軌道に乗せられなかったなどの理由から再び転職活動をする中で「元の会社に戻ろう」と出戻り転職を考えるケースも少なくありません。そうしたニーズに合わせ、企業によっては出戻り社員のことを「アルムナイ(卒業生)」、再雇用制度を「ジョブリターン」と呼ぶなどして以前よりも出戻り転職をしやすい環境を整えています。
出戻り転職は恥ずかしいこと?
とはいえ、「出戻り」という言葉はちょっと後ろ向きなことは確かです。「転職先でうまくいかなかったのでは?」「起業したのに失敗したのでは?」と周りの社員から勘繰られてしまい恥ずかしいと感じることもあるかもしれません。でも、そう思っているのはあなただけです。実は企業側からみれば出戻り社員は恥ずかしいことではなく、むしろ歓迎するほどです。
というのも、一度現場にいたことがあるかつての社員が戻ってきたということはゼロから仕事内容を説明したり、採用の際、求職者の人となりを調べるなどの手間が必要だったりしますが、現場のことをよく知っていて、なおかつ人となりもわかっている出戻り社員に関しては、そうした作業は不要になります。
さらに出戻り社員は即戦力として起用できるなどのメリットがあるため、企業としては頼もしい存在です。むしろほかの会社を経験したことで以前よりも活躍できると考える企業もあり、最近では復職を目指す元社員をサポートする出戻り制度を充実させている企業すらあります。

出戻り転職が歓迎されるようになった背景
それでは、なぜ「出戻り転職」が企業から歓迎されるようになったのでしょうか? かつて働いていたことで、現場の状況をよく理解していてすぐに働ける即戦力であること、以前働いていたことでその人となり、仕事に対する熱意なども企業側がわかっていることも大きなポイントですが、それ以外にも下記のような理由があります。
働き方の多様化が浸透してきたため
出戻り転職が企業から歓迎されるようになった大きな理由の一つとして、終身雇用制度が変化したことが挙げられます。かつての日本では新卒で入社した会社に定年まで勤めあげる終身雇用制度を採用している企業が一般的でした。そのため、一度退職してしまうと、出戻りすることに対してのマイナスイメージを強く抱かせる理由の一つになっていました。しかし、近年では働き方の多様化、経済状況の変化などで自分のやりたいことやキャリアプランに合わせて転職するという考えを持つ人が増えてきました。
実際にデータにも表れていて、総務省統計局の「直近の転職者及び転職等希望者の動向について_転職者、転職等希望者(p.3)」を見ると転職者は2022年7~9月期に313万人を記録すると、その1年後には325万人に増加。たった1年で12万人も増えています。さらに2023年7~9月期の転職等希望者は1035万人と、前年と比べると78万人の増加となっています。転職等希望者はこれで10期連続の増加で、過去最多を記録しました。これだけでも働き方の多様化が浸透してきたことがよくわかるでしょう。
高齢化社会により人材確保が難しくなってきたため
転職したいという人がこれだけ多くいるという半面、企業にとっては働き手を確保するのが難しくなっているというのも出戻り転職が歓迎される理由の一つになっています。
総務省の「令和4年 情報通信に関する現状報告の概要」を見ると、日本の生産年齢人口(15~64歳)はおよそ30年前の1995年をピークにして減少し続けています。
最大の原因となっているのは長らくいわれ続けている「少子高齢化」ですが、これにより働き手の減少も顕著になり、人材不足が拡大しています。厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)について」によると、全職業計の有効求人倍率は1.3倍。職種によっては10倍を越えるものもあり、全体的に働き手が不足していることがよくわかります。
各種統計からも、多くの企業では働き手の確保に苦労しているのは明らかで、さらに優秀な人材を採用するとなるとかなり厳しくなります。そのため、仕事の流れや社内の状況がよくわかっている人材が出戻り転職することを、企業が歓迎するというのはある意味当然のことといえるでしょう。
出戻り転職を成功させやすい会社の特徴
上記のデータを見ても多くの企業が働き手の確保に苦労していますので、もともと在籍していた会社が人材不足に悩まされている可能性も高く、その場合は出戻り転職が成功しやすいといえるでしょう。その場合、転職サイトなどの求人ではなく、元上司や同僚から誘いを受けることの方が多いでしょう。
退職後、元上司や同僚と食事などで会話する機会があった際、「人が足りないから戻ってきてほしい」というような誘いを受ける場合は、出戻り転職が実現する可能性は高いといえそうです。出戻り転職を希望している場合は、積極的に話を聞いてみることをおすすめします。
また、前にいた会社が以前から出戻り転職を積極的に取り入れているかも大きなポイントです。最近では退職した社員とも積極的にコンタクトを取り、戦略的にアルムナイ採用を行っている企業もあるので、出戻り転職を検討しているのであればこうした仕組みや制度をあらかじめ確認しておくといいでしょう。
もちろん、制度の有無だけでなく自身の経験やスキルが採用ニーズにあることが重要なポイントになるので、元上司や同僚からのオファーを受けた際は採用の可能性をある程度探っておきましょう。
出戻り転職は退職後いつまでならできる?
出戻り転職で気になるのが、退職してからの期間です。退職してからの期間があまりに長いと厳しいのでは、と考えてしまう方もいますが、それは企業によってまちまち。「半年以内」、「1年以内」など出戻り転職に期限を求めているケースがあります。
退職から間隔が開いていない場合は以前の在籍時と従業員の顔触れや社風、仕事内容なども大きな変化がないことが多いため、すぐに職場になじめ、社内の人脈を生かした仕事ができることが予想できます。逆に退職から時間が経っている場合は従業員や社風が変わっているケースがあるため、以前とは環境が異なり、ギャップを感じる可能性があります。退職してからしばらく時間が経っている場合は、現在の会社の状況を確認しておくといいでしょう。

出戻り転職が歓迎される人の特徴
一括りに「出戻り転職」といっても、どんな人も歓迎されるされるとは限りません。いくら人材不足が顕著な状況でも「この人はちょっと…」と敬遠される方もいます。
では、どんな人材であれば出戻り転職をした際に歓迎されるのでしょうか?
出戻り先の職場で成果を出していた
まずはシンプルに「仕事ができるか否か」が判断基準となります。以前在籍していた際に元の職場で成果を上げていたか、活躍していたかは大きなアピールポイントになります。
これは面接のときだけでなく、話を持ち掛けてくれた元上司や同僚が「ヒット商品の○○を企画した」「20××年に社長賞を受賞した」などの実績があれば、社内へ推薦しやすくなり、出戻り転職の成功を後押ししてくれます。
もちろん、こうした実績がある場合は他部門の人にも知られていることが多いため、採用担当者にも好印象を与え、採用の可能性もグンと上がるでしょう。
信頼関係が構築できていた
仕事ができることはもちろんですが、元上司や同僚、そして社内の関係者と信頼関係を築けているかも重要なポイントです。
面接時に求職者の人物像や経験、スキルや実績を確認しますが、出戻り転職の場合は人となりなどはすでにわかっているので、在籍時に周りとの協調性や強固な信頼関係があったならば、出戻り転職が成功する可能性が高そうです。
円満に退社していた
「飛ぶ鳥、跡を濁さず」のことわざがある通り、退職時の対応も出戻り転職の大きなカギを握っています。退職した際に上司や同僚とトラブルを起こして退職したケースではさすがに出戻り転職を成功させるのは難しいでしょう。
円満に退職し、その後も元上司や同僚と良好な人間関係を保っていることがベストです。
出戻りする理由に説得力がある
出戻り転職の際の面接で最もカギとなるのが「なぜ戻ってきたか?」。理由はどうあれ、一度は退職した企業に戻ってくるのですから、それなりに明確な理由が必要なのは間違いありません。このときに避けたいのが「転職先の企業の仕事内容や社風が合わなかった」というネガティブな理由です。これだと単に「前にいた会社で仕事内容もわかっているから、楽に転職できると思ったから」ととらえられてしまい、面接時にネガティブな印象を与えてしまいます。
大切なのは前向きな理由です。「転職先で得た経験やスキルを生かしたい」「異なる業種を経験したことで得た知識を生かしたい」など、出戻る企業に何かメリットがあると思わせる理由を明確にしておくことが大切です。

出戻り転職のメリット
ここまで説明してきたように出戻り転職には企業側にとって、多くのメリットがありますが、同時に出戻り転職をするあなたにも多くのメリットがあります。単純に前の仕事と同じことをするからというのもありますが、戻ってきた者の強みとなるメリットとはほかにもこんなものがあります。
社内になじみやすく心身の負担が少ない
出戻り転職の最大のメリットといえるのが、社内環境へのなじみの速さでしょう。もともといた会社なので社風も人間関係もよくわかっているため、その環境になじむスピードは新しい転職先とは比較にならないほど速いはずです。そのため大きなミスマッチとはまず無縁なので仕事もスムーズに始められることでしょう。
また、労働環境や雰囲気もある程度つかんでいることが多いため、入社前に不安に感じることはなくすぐに順応できるというのも出戻り転職の強みです。
転職活動の期間が短く済む可能性がある
転職活動中というと、いつ職場が決まるのか、いつから働けるのかなど、採用されるまでの期間はどこかモヤモヤとして居心地が悪い日々を過ごすことになりますが、出戻り転職の場合は過去の仕事内容や人柄を会社側が理解している可能性が高く、採用選考がスムーズにいきやすい傾向にあります。そのため、転職活動の期間が通常よりも短く済むといわれています。
上記にある通り、出戻り転職を積極的に採用する企業が増えているという点も出戻り転職を検討している人には追い風となることでしょう。
実務経験があるため即戦力として活躍できる
企業が出戻り転職を前向きに考えている理由の一つに「仕事内容を理解している=即戦力としてすぐに活躍できる」というものがあります。それはそのまま出戻り転職を考えているあなたにとってもメリットとなることでしょう。
以前働いていた会社だからこそ業務の流れを理解していることが多く、一から覚え直す必要がないというのは心身ともにかなり楽なはずです。以前と全く同じ仕事を任されるわけではないかもしれませんが、それでも社内システムや組織体制を熟知しているというのは大きな利点となることでしょう。多少ブランクがあったとしても、ゼロベースから始めるわけではないのはプラスとなります。
転職経験を生かしキャリアアップができる
以前に在籍していたときと出戻り時の大きな違いとして「別の会社を見てきた」というものがあります。それはそのままあなたの武器となることでしょう。別の会社にいたことで身に付いた知識やスキルをそのまま生かすことができるからです。
別の企業にいたからこそ得られた別の視点や新しい知識を積極的に活用できると「社内に新しい風を吹かせられる人物」として見られるようになり、そのままキャリアアップに直結する可能性すら出てきます。
出戻り転職のデメリット
一見すると、いいことずくめに見える出戻り転職ですが、当然デメリットも存在します。出戻りは恥ずかしいと思う必要は全くありませんが、いざ戻ってみたら「思っていたのと違う」「前と同じだった」などという思いを抱く可能性があるほかに、このようなデメリットが考えられます。
選考が始まったら辞退しづらい
出戻り転職をする際、かつての上司や同僚から声をかけてもらうというケースがありますが、この場合に、いざ選考が始まると途中で辞退するのは紹介者のメンツが丸つぶれになってしまうこともあり、かなり難しくなります。
また、選考を進めるうちに最初に聞いていた仕事の条件や内容が異なってくることもありますが、この場合も交渉しづらいというのもデメリットとして考えられます。
転職前と同じ待遇とは限らない
出戻り転職なのだから、当然以前いたのと同じ部署・待遇を求めると思いますが、実際はそうならないケースも多くあります。中には給与が依然と比べると下がることもありますし、過去に所属していた部署がすでになくなっていて新しい部署に代わっていることも考えられます。もちろん前にいた上司や同僚が退職して新しいメンバーと仕事をすることもあります。
そういう状況で注意したいのは「以前はこうだった」という具合にかつての働き方ややり方を踏襲しようとしてしまうことです。現在の社内にいるメンバーには「面倒な人」というマイナスイメージを与えることになりますので、今までとは条件が異なっても仕方がないくらいのスタンスで臨むことが重要です。
以前の同僚や後輩が上司になる場合がある
退職してから時間を空けて出戻り転職をした場合に考えられるのが、当時の同僚たちの出世や昇進です。場合によっては当時の同僚や部下が上司となって、あなたに指示を出す側に回っている可能性もあります。
立場が変わったことでかつてのように気軽に話しかけることができず、「やりづらい」と思うリスクはあるでしょう。また、あなたは気にしなくても周りが気を使ってしまい、社内環境が悪くなることも考えられます。
出戻りをすべての人から歓迎されるわけではない
前回退職時のあなたの振る舞い次第ですが、出戻り転職をした場合に周りから歓迎されるとは限りません。例えば前回の在籍時に引き継ぎ業務をおろそかにしたことで、後任となった社員が迷惑をこうむったなどのケースではあまり歓迎されないという可能性はあります。
また、減ってきたとはいわれていますが、一部では「一度退職した人間」に対して、不満や反感を抱く者もいるということを覚えておきましょう。
前回と同じ理由で転職を考える結果になりかねない
採用する側の企業がネガティブになる理由としてはこれが挙げられます。どんな理由があったにしても一度は会社を辞めた人間がもう一度戻ってきたのだから、前回と同じ理由で退職するのでは、と考えることは当然といえるでしょう。
ポイントとなるのは以前の退職理由。「人間関係」や「残業の多さ」などの社内環境などが理由で退職した場合、それらが改善されていなかったとすれば、再び退職を検討することになるでしょう。

出戻り転職をして後悔するケース
一度離れた職場に再度戻ってくる形になる出戻り転職。戻ってきてよかったと思う半面、場合によっては「やっぱり戻ってこなかった方がよかったかも」と転職後に後悔することもあります。
出戻り転職で後悔する主な理由をまとめましたので、一つずつ見てみましょう。
前回の退職時と同じ理由で転職したくなる可能性がある
そもそも前回の退職時の決め手になった理由を覚えていますか。給与面や労働環境、人間関係などに不満があったなど、何かしら理由があったと思われますが、出戻り転職で再び入社した結果、前回在籍時から何も変化していないことに気づいて、前回と同じ不満を抱いて、出戻り転職を後悔してしまうというケースです。
こうならないためには入社前にあらかじめ元の上司や同僚などからヒアリングしておくといいでしょう。
紹介者がいるため選考辞退・再度転職がしにくくなった
出戻り転職のキッカケとなるのがかつての上司や同僚からのお誘い。当時の人脈を生かして出戻り転職を実現させようとしていた場合、労働環境に違和感を覚えたとしても誘ってくれた上司や同僚たちに気兼ねしてしまって、選考辞退や再度の転職をしにくいということもあります。
人脈を生かしての出戻り転職は選考が通りやすくなる傾向がある半面、辞退しづらくなるということを考えておきましょう。
社内の風当たりが厳しかった
出戻り転職を果たした社員に対してネガティブなイメージを持つ社員は今でも決して少なくありません。そのため、「また退職するのでは?」「退職しなければよかったのに」という思いを抱えていることがあります。
もともと相性が合わない人や前回退職時の印象が良くない人など、出戻り転職を歓迎しない理由はそれぞれありますが、場合によっては普段以上に信頼関係を築くのに苦労したり、即戦力を見込まれて早い時期に結果を出してほしいという過度なプレッシャーを受けたりすることがあるということは覚悟しておいた方がいいかもしれません。
出戻り転職で後悔しないために注意したいポイント
「思っていたような転職ではなかった」と、出戻り転職を後悔しないためにはどうすればいいのでしょうか? ここでは具体的に出戻り転職時に後悔しないように注意したいポイントをまとめてみました。それでは一つずつ見てみましょう。
前回の退職理由を明確にして慎重に検討する
まず気を付けたいのは「前回の退職理由」を明確にすることです。少なからず苦労して就職した会社を辞めたいと思ったのには何か大きな理由があったはず。それを丁寧に分析して理由を客観視できていないと、出戻り転職で元の職場に戻っても問題の根本部分が解決していなければ、前回の二の舞になることでしょう。
それだけに「前回、何が不満で退職しようと思ったのか」をしっかりと洗い出し、現在の職場がその不満を解消しているかを確認しておいた方がいいでしょう。
転職後に経験やスキルを生かせるか確認する
転職先で得たスキルや経験はあなたにしかない大きな武器です。それを出戻り転職出戻る職場でも生かせるかを考えるのも大事なことです。
貴重な経験で得たスキルを戻ってきた職場でも生かせるようならあなたの可能性は広がり、以前よりもスムーズに業務を行うことができるようになりますし、引いてはあなたの社内評価も大きく上がることでしょう。
今回の転職目的を明確にする
そもそも「どうして、元の職場に戻りたいのか?」を自分の中で分析しておくことも後悔しないためには大切なポイントです。これまでの自分の経歴を振り返り、その中で育んできた価値観や大切にしていることなどを明確にして、さらに自身の長所・短所をしっかりと洗い出した上で転職後に何をしたいのかを考えてみましょう。
この自己分析が不足していると出戻り転職はもちろん、転職先で苦労することになりますので自己分析には時間をかけて徹底的に行うことをおすすめします。
求める条件と転職先が合っているか確認する
出戻り転職に限った話ではありませんが、転職先を考える際に大切なのは自身が求めている条件と合っているかどうかです。給与が満足できるものなのか、福利厚生が充実しているのか、希望する業種なのかなど、自分が転職するに当たり最も重視していることに優先順位を付けていき、その中で合致する場合はかつて在籍した職場に出戻ることを考えるといいでしょう。
希望条件はいくつあっても構いませんが、あまりに多すぎると選択肢を狭めてしまうため、譲れないポイントをあらかじめ整理しておきましょう。
理想のキャリアを歩めるか確認する
転職は人生において貴重な経験となります。せっかくなら長期的な目線で自分のキャリアプランを立てて、それを実現できそうな企業を選ぶと、転職が成功する可能性が高まります。
具体的には将来の理想像、5年後・10年後に自分が何をしているか明確にイメージできるかどうかを考えた上で、どのような企業を選ぶのがいいかを明確にしていきましょう。

出戻り転職を避けた方がよいケース
魅力が多くあるように感じる出戻り転職ですが、場合によっては避けた方がいいというケースもあります。それでは出戻り転職を避けた方がいいケースとはどんなときでしょうか? ここでは出戻り転職を避けた方がいい場合について解説します。
在職期間にトラブルがあった
まずは以前の在籍期間にあなたにトラブルがあった場合です。トラブルといってもいろいろな種類がありますが、具体的には以下のものが挙げられます。
・無断での遅刻、欠勤が複数回あった
・パワハラ、セクハラなどの問題を起こした
・会社の就業規定に違反したことがある
・事前に相談や引き継ぎ業務を行わずに突然辞めた
いくら即戦力の人材だったとしてもこうした問題行動があった場合、企業側としては二の足を踏むでしょう。また、これらの行動に目をつぶって採用してもらったとしても、現場では以前のイメージで見られることが多く、信頼を回復するまでに苦労を強いられる可能性があります。
在籍期間が短期である
前回の在籍期間がわずか1カ月程度だったなど、あまりに短期だった場合は出戻り転職が実現しづらいといえるでしょう。理由としては企業側が「またすぐに辞めてしまうかもしれない」と考えたり、「実力が備わっていない」と判断したりする可能性が高いからです。
そもそも企業が出戻り転職を歓迎する理由は「即戦力として活躍できる可能性が高い」という点があります。それには経験やスキルが以前の在籍時に備わっていることが絶対条件となるため、短期の在籍だった場合はそうした可能性が低いと企業側も採用に二の足を踏んでしまうかもしれません。
出戻り転職を成功させるためのポイント
では、出戻り転職を成功させるにはどのようなことを意識すればいいのでしょうか?面接時に聞かれそうな質問を想定したり、前回の入社時との違いをイメージしたりする必要も当然ありますが、以下のことを意識しておくと出戻り転職が成功する可能性が高まることでしょう。
どのようなことを意識すればいいのかを一つずつ見ていきましょう。
説得力のある出戻りしたい理由を準備する
出戻り転職を希望する求職者に対して、企業は「またすぐに辞めてしまうのでは?」という不安や疑念を抱く可能性があります。そのため、「なぜ転職したいのか」「なぜ現在の職場を退職するのか」という理由をしっかりと整理し、企業側が抱くであろう疑問点を解消することが重要になります。
転職・退職の理由は一貫性のある内容を重視して、入社後は腰を据えて勤める姿勢をアピールするのがいいでしょう。
転職で得た経験やスキルを棚卸しする
出戻り転職を希望する求職者の武器となりうるのが「他社で得たスキル・知識」です。例えば専門性の高いソフトが使えるという知識を生かして経理業務の効率化を図りたいというような具体的なスキルや知識を面接時に説明し、それらをどう生かしていくのかを面接官にイメージさせることがポイントです。
以前の上司や同僚に出戻りを相談する
出戻り転職を検討している場合、まずは現在の職場の状況をしっかりとリサーチしておくことが大事なポイントになります。以前退職した際の理由になった問題が解決されているかどうか、仮に自分が入社した際に配属されそうな部署や業務内容を確認しておくことで大きなミスマッチを防ぐことができます。
その際に大切なのがかつての上司や同僚です。彼らと信頼関係が構築できている場合は、自分が出戻り転職を希望していることなどをアピールし、気になることについて確認しておくことをおすすめします。

出戻り転職で説得力のある志望動機を伝えるためのポイント
出戻り転職を成功させるためには面接などで説得力のある志望動機を伝えることが大きなカギを握ります。一度会社を離れている人間が戻ってくるのですから、通常の求職者以上に大きな理由があると考えられるため、志望動機の伝え方を工夫する必要が出てきます。
説得力のある志望動機の伝え方について紹介します。
前回の退職理由も伝えた上でポジティブな志望動機を伝える
面接官が出戻り転職を希望する求職者について気になっているところは「なぜ、前回退職したのか」と「なぜ、再び戻ってきたか」の2点です。まずはここをクリアにする必要があります。
もちろん、退職した理由の伝え方はネガティブなものではなくポジティブに言い換えます。例えば「新しい分野に挑戦したいと思い転職したが、経験していくうちに○○の分野でトップのシェアを誇る貴社で専門的な仕事に携わりたいと感じた」など、退職した理由や戻ってきた理由、戻ってきて何をしたいのかをはっきりさせることが大切です。
出戻り転職後にどう会社に貢献できるか伝える
企業側が出戻り転職の求職者に期待するのは即戦力として活躍できるかどうかです。そのため、業務に関する実践的な知識やスキルはもちろん、かつての失敗から学んだこと、失敗を経て得た経験などをどう生かしていくかをアピールするのもいいでしょう。
出戻り転職は一般的な転職希望者よりも業務内容を熟知しているのが強みです。異なる環境で得たものが業務にどう生かせるのかを論理的に説明することがポイントです。
出戻り転職で活用できる志望動機の例文
では、出戻り転職の志望動機としてどんなことを書けばいいのでしょうか? ここでは一つ例文を紹介します。
「以前、貴社では○○の仕事を3年間担当しておりました。前回は『さらに仕事の幅を広げたい』という理由で××へと転職しましたが、いくつかの業務を経験していく中でやはり貴社で経験した○○の仕事のスペシャリストになりたいという思いが強くなり、再び貴社を志望した次第です。前職で身に付けた△△のスキルや経験を生かし、貴社に骨を埋める覚悟で働きたいと考えております」
この例文のポイントとしては以下が挙げられます。
・前職での経験や新たに習得したスキルを具体的に示している
・「なぜ出戻りなのか」という点を論理的に伝えている
・長期的なキャリアビジョンと出戻り先での目標を結びつけている
・企業に「戻ってきてほしい」と思わせる魅力的な志望動機がある
これらを意識して自分の志望動機を考えてみましょう。
出戻り転職を実現させるための3つの方法
では、出戻り転職を成功させるにはどうしたらいいのでしょうか? 具体的な方法として考えられるのは以下の3点です。
前職の上司や同僚に相談する
出戻り転職を考えている場合、最初にしておきたいのが以前の上司や同僚への相談です。自身が出戻り転職を考えていることを伝えた上で現在の会社の状況などを教えてもらい、それでも出戻り転職を希望するのであれば、書類選考などを免除してもらえる可能性があります。
通常の転職活動よりも流れがスムーズになる可能性があるだけでも、大きなメリットとなるだけに、事前にかつての上司や同僚にリサーチしておくといいでしょう。
求人情報を確認し応募する
退職から何年も経過していて、社内に自身の知り合いがいない場合は求人サイトや企業のリクルートサイトから直接応募するのがいいでしょう。ただし、この場合は一般的な転職活動と同じになるため、出戻り転職のメリットを生かし切れない可能性があります。
また、企業によっては再雇用を想定していない可能性もあるため、事前に問い合わせるか応募フォームなどであらかじめ出戻り希望であることを伝えておくといいでしょう。
転職エージェントに登録し相談する
「出戻り転職を希望しているけれど、前の職場に連絡を取るのが気まずい」という場合は転職エージェントを活用するというのも一つの手です。民間企業が運営している就職支援機関である転職エージェントであれば、かつての職場が求人募集を出しているか、出戻りでの応募は可能なのかという情報を確認してくれます。
面接日の日程調整も代行してくれるので、一人で転職活動をするよりもはるかに効率的なのもポイントです。
出戻り転職するなら徹底した準備が必要
出戻り転職を実現させるために大切なのは徹底した事前準備。どんな理由であれ一度は辞めた会社に戻ってくるのですから、しっかりとした転職理由が必要ですし、仮に再び入社したらどのように貢献できるのか、転職先でどんなスキルを得たのかなどを積極的にアピールする必要があります。
こうした事前準備を怠ると面接時に面接官へ不安を抱かせることになるため、想定できる質問の答えをあらかじめイメージしておき、自分の強みを言葉にできるように備えておきましょう。
もし、自分一人で転職活動をするのに不安がある場合は転職エージェントなどの専門家を利用するのも一つの方法です。転職に関してのプロなだけにあなたに必要なこと、そしてなすべきことを丁寧に教えてくれるので転職への対策を立てるにはうってつけの存在となります。
出戻り転職の準備、ほかの転職先を見つけたいならジョバディへ
一見するとメリットが多いように感じる出戻り転職ですが、それと同じくらいにデメリットもあり、さらに出戻り転職には通常の転職活動以上に徹底したリサーチが必要なことがわかります。そのため、自分一人で行うのはさすがに厳しいと感じることもあるでしょう。
そうした場合は求人サイトのジョバディの活用検を討してみましょう。職種と勤務地のマッチングをはじめ、キーワードを加えてこだわりの検索をすることも可能です。さらにキャリアアドバイザーへの相談もできますので、転職を考えている方はぜひ活用してみてください。