同業他社への転職は禁止? メリットと注意点を解説

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同業他社への転職は禁止? メリットと注意点を解説

「転職したいけど、同業他社への転職は問題ないのだろうか?」

この記事にたどり着いたあなたは、そんな悩みを抱えているのではないでしょうか。
現職と同じ業種での転職を希望しているものの、それが問題ないのかどうか不安を感じている人もいるでしょう。
本記事では、そのような人に向けて、転職する際の注意点や、転職成功に向けたポイントを紹介します。
以下の項目を踏まえて紹介します。

・同業他社への転職は違法ではない
・競業避止義務規定がある場合は注意が必要
・競業避止義務を負っている場合の有効期間は1~2年が一般的で、規約の内容によっては在職中も同様に義務を負っている
・同業他社への転職は、前職の経験やスキルが即戦力として使えるメリットがある

同業他社に転職したいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

同業他社への転職は法律的に可能

同業他社への転職は、日本国憲法において「職業選択の自由」が保障されているため、違法ではありません。
ただし、これには例外があります。
それは、前職の勤務先に、競合他社への転職を制限する規約がある場合です。
そのような規約を設けているのは、前職の勤務中に知り得た情報や、取得した情報が流出するのを防ぐ目的があります。
このような規約を「競業避止義務」といい、もし違反すると、損害賠償を請求される可能性もあるので注意しましょう。

競業避止義務とは

上記で紹介した「競業避止義務」について解説します。
競業避止義務とは、退職後に、前職の同業他社に転職したり、同じ業界で起業したりする行為を禁止することです。
前職で、業務上知り得た情報や技術などの機密情報が流出することで、損害を受けることを避ける目的があります。
就業規則や誓約書に、競業避止義務の記載がある場合は、在職中にもその義務を負っているので注意が必要です。
特に、在職中に転職活動をする際は、今の職場の情報が漏洩(ろうえい)しないよう気を付けましょう。

競業避止義務の有効期間

競業避止義務には有効期間があり、一般的に退職後1年から2年ほどです。
退職後3年を過ぎると、無効になる場合が大半です。
なお、競業避止義務の有効期間内であっても有効性が認められない場合もあります。
競業避止義務の有効期間は2年を目安に考え、転職活動をする場合は義務期間を事前に確認することをおすすめします。

競業避止義務違反になるケース

前職の会社の機密情報を流出させたことで、企業に重大な損害が生じた場合、競業避止義務違反とみなされます。
経済産業省の「競業避止義務契約の有効性について」では、以下の6つの観点から義務違反の有無を判断すると示しています。

①守るべき企業の利益があるか
②従業員の地位に対する競業避止義務を課す必要性があるか
③地域的な限定があるか
④競業避止義務の有効期間内かどうか
⑤禁止される競業行為の範囲が明確かどうか
⑥義務を課せられたことで起こる不利益への代償措置があるか

競業避止義務違反によって訴えられ、違反行為と違反による損失との因果関係が裁判によって証明された場合は、損害賠償請求や競合行為の差し止めなどが実行されます。
機密情報を取り扱っていた人や、役職に就いていた人は特に注意が必要です。

競業避止義務違反の可能性がある具体例

ここで、競業避止義務違反の可能性がある具体例を紹介します。
例えば、転職先で、前職の企業で使っていた独自のノウハウを提案したり活用したりすることや、前職の顧客情報を使うことが挙げられます。
個人用の携帯で顧客と連絡を取っていた場合は、事前に引き継ぎを行い、退職後は連絡を取らないようにしましょう。
他にも、同種事業での副業の例が挙げられます。
また、在職中の転職活動で、現職の情報を伝えることも違反になる可能性があります。
面接で「○○業界の顧客リストがあるので、○億円程度の売り上げが期待できる」などとアピールするのは違反になる可能性が高くなります。

就業規則や誓約書に同業他社への転職禁止項目がないか確認しておく

競業避止義務は、就業規則に記載されている場合があります。
また、入社時や退職する際、誓約書に署名を求められる場合もあります。
具体的には「◯年間は同業他社、競合他社に転職しない」といった内容です。
在職中に転職活動をする場合、就業規則や誓約書に同業他社に転職することを禁止する内容があるかどうかを必ず確認するようにしましょう。
同業他社への転職を考えている場合でも、退職時に誓約書への署名を要求される可能性があります。
その場合は、拒絶するのではなく、転職理由を話してお互いに納得した上で転職に合意してもらい退職することをおすすめします。

同業他社に転職するメリット

同業他社に転職するのは、競業避止義務の観点から考えるとハードルが高いかもしれません。
一方で、同業他社への転職はメリットもあります。
ここで、同業他社に転職するメリットについて解説します。

・未経験よりも採用されやすい
・即戦力として活躍できる
・キャリアアップしやすい

上記3つのメリットに分けて紹介します。
一つずつ見ていきましょう。

未経験よりも採用されやすい

1つ目のメリットは、未経験よりも採用されやすいことです。
同業他社に転職する場合、専門的な知識や実績をアピールしやすく、未経験よりも採用される可能性が高いからです。
企業側が最初から教育する手間が省け、その分コストも抑えられるので、経験者を希望している企業も多いのです。
同業からの転職なので、求職者側は仕事内容や仕事の雰囲気がある程度理解できているでしょう。
そのため、異業種からの転職者によくある「仕事内容が合わない」「雰囲気が思っていたのと違う」という理由での退職は少ないでしょう。
それも、経験者が採用されやすい理由の一つです。

即戦力として活躍できる

2つ目のメリットは、即戦力として活躍できることです。
同じ業界であれば、前職の経験を生かして即戦力として働くことが可能です。
あなた自身が積み重ねたスキルを転職後も生かせるため、成果を上げやすいはずです。
その場合、転職後の年収アップも期待できます。
中途採用の場合、企業側も即戦力として活躍できる人材を求めている場合が多いので、経験者は特に評価されやすくなります。

キャリアアップしやすい

3つ目のメリットは、キャリアアップしやすいことです。
その業界の知識やスキルにおいてアドバンテージがあるので、前職の経験を生かし、より難しい仕事や新しい分野に挑戦することができます。
同じ業界の場合、会社が違ってもキャリアアップの流れは似ているため、キャリアプランが立てやすくなります。
新しい環境で働くことで、視野が広がり、新たなものの捉え方や見方ができるようになれば次のようなキャリアビジョンも見えてくるでしょう。
「商品やサービスの企画アイデアが湧く→組織体制の課題に気付く→マネージャーとして組織をリード→成長戦略に関わり、運営するポジションを狙う」
このようにキャリアアップをしやすいのも、同業他社へ転職するメリットです。

同業他社に転職するデメリット

同業他社に転職するには、上記のようなメリットがある一方で、デメリットもあります。
ここで、同業他社に転職するデメリットについて解説します。

・大幅な収入アップは期待できない
・評価が厳しくなる可能性がある
・顧客に不信感を抱かれる可能性がある
・期待値の高さにプレッシャーを感じやすい
・前職の人との関係が悪くなる可能性がある

上記5つのデメリットに分けて紹介します。
一つずつ見ていきましょう。

大幅な収入アップは期待できない

1つ目のデメリットは、大幅な収入アップは期待できないことです。
業界ごとに給与の相場が決まっているため、同業他社への転職では大幅な収入アップはあまり期待できないのが現実です。
ただし、前職の会社で正当に評価されず給料が低かった場合は、収入アップする場合もあります。
また、同じ業界でも異業種へ転職する場合は、未経験扱いになるため収入アップはあまり見込めません。
一方で、上記でも紹介したように、前職での経験やスキルが転職後に生かせる場合は、収入アップになることもあります。

評価が厳しくなる可能性がある

2つ目のデメリットは、評価が厳しくなる可能性があることです。
同業他社へ転職した場合、未経験者と比較して業務に求められる期待水準が上がります。
そのため、評価が厳しくなる可能性があります。
経験者は、即戦力として期待されているので、平均的な成果では不十分の場合もあります。
同業他社への転職を考える場合は、そのような点も考慮して転職活動を進めましょう。

顧客に不信感を抱かれる可能性がある

3つ目のデメリットは、顧客に不信感を持たれる可能性があることです。
「前職でうまくいかなかったから、同業他社へ転職したのでは?」といったマイナスの印象を持たれる恐れがあります。
具体的には、スキル不足、人間関係に問題を抱えていた、などの疑念を抱く顧客もいるかもしれません。
このように、顧客から不信感を持たれる可能性があることを心に留めつつ、顧客対応することが必要になります。

期待値の高さにプレッシャーを感じやすい

4つ目のデメリットは、期待値の高さにプレッシャーを感じやすいことです。
同業他社への転職では、即戦力としての期待値が高いため、転職者側はプレッシャーを感じやすくなります。
この場合、小さな目標の達成から、経験値を積み上げていくことで、自信につなげることが大切です。
また、転職先で頼れる上司や先輩を見つけることで、プレッシャーが和らぐこともあります。
悩みを相談したり、経験談を聞いたりするとよいでしょう。

前職の人との関係が悪くなる可能性がある

5つ目のデメリットは、前職の人との関係性が悪くなる可能性があることです。
同業他社へ転職した後も、業界セミナーなどで、前の職場の人と会う機会もあるでしょう。
その中には、転職したことを快く思わない人もいるかもしれません。
特に、好条件で転職できた場合は、不満を感じたりマイナスな感情を抱いたりする人もいるので注意しましょう。

同業他社への転職を成功させるコツ

同業他社への転職を成功させるためには、いくつかコツがあります。
ここで、そのコツについて解説します。

・転職理由を明確にする
・企業分析を徹底する
・実力以上のスキルをアピールしない
・前職のネガティブな話は避ける
・転職先のやり方に切り替える

上記5つのコツに分けて説明します。
一つずつ見ていきましょう。

転職理由を明確にする

同業他社への転職を成功させるコツの1つ目は、転職理由を明確にすることです。
転職理由を明確にし、目的をしっかり説明できるようにすることが大切です。
面接では「同業他社に転職する必要はあるのか?」「なぜ転職しようと思ったのか?」など、転職理由を問われる場合がほとんどです。
そのため、前職でうまくいかなかったから転職するのではないか、という採用担当の懸念点を払拭する明確な理由を準備する必要があります。
前職では達成できなかったものの、応募先の企業では実現し得る目標と、その根拠を示すことがポイントです。
漠然と業界に対する志望理由を述べるのではなくて、応募先の企業だからこその理由を説明できると好印象でしょう。

企業分析を徹底する

同業他社への転職を成功させるコツの2つ目は、企業分析を徹底することです。
同業他社への転職は、異業種や異業界への転職に比べると難易度が低いと思われるかもしれません。
しかし、同業だからこそ、応募先企業についてより深く理解する必要があります。
あえて競合に転職したいのはなぜか、採用担当者を納得させる説明が求められます。
また、複数の事業を持つ大手企業に応募する際は、応募する領域しか調べていない転職者も多いのですが、それでは不十分です。
経営方針やIRにも目を通し、十分に企業研究を行った上で、自身の強みや経験をアピールしましょう。

実力以上のスキルをアピールしない

同業他社への転職を成功させるコツの3つ目は、実力以上のスキルをアピールしないことです。
同業他社への転職活動では、経験談が武器になるため、実力以上のアピールをしてしまうことも少なくないでしょう。
しかし、これまで培ってきたスキルや経験、能力をありのまま伝えるのが無難です。
面接官は、業界や職種に精通している社員であることがほとんどです。
そのため、事実と違う内容を話すと気付かれてしまいます。
もし、誇張した話を信じてもらえたとしても、期待値が実力以上に高くなるため、入社後にミスマッチが起きる可能性が高くなります。
応募先の企業にとっても、自分自身にとってもデメリットになるので、実力以上のアピールはしないことをおすすめします。

前職のネガティブな話は避ける

同業他社への転職を成功させるコツの4つ目は、前職のネガティブな話を避けることです。
これは、同業他社への転職だけに限らないことですが、面接でネガティブな話をするのはNGです。
同じ業界なので、応募先の企業の面接官と、前職の社員が知人という可能性もあります。
その場合、面接官に悪い印象を与え、入社後も仕事しづらくなる恐れがあります。
ネガティブな話をすると、「また同じような理由で辞めるのでは?」という懸念を抱かせてしまいます。
また、話の内容によっては、その人の能力が劣っていると思わせてしまうこともあります。
このような事態を避けるためにも、マイナスな発言をプラスに置き換えて話すことをおすすめします。
例えば、「スキルが生かせなかった」は「仕事の領域や活躍の幅を広げたい」と言い換えることができます。

転職先のやり方に切り替える

同業他社への転職を成功させるコツの5つ目は、転職先の企業のやり方に切り替えることです。
同業他社へ転職した場合は、前職での方法にこだわりがあったとしても、転職先の仕事のやり方に合わせることが大切です。
前職での在職期間が長いほど、仕事の進め方に癖が付いている可能性が高いといえます。
このような場合でも、前職のやり方にこだわらないことをおすすめします。
同じ業界でも、会社の文化や組織風土は異なります。
転職先の企業の方針に柔軟に対応するように心がけておきましょう。

同業他社へ転職するときの注意点

同業他社へ転職する場合、在職中の企業に対しても注意しておくことがいくつかあります。
ここで、同業他社へ転職するときの注意点について解説します。

・同業他社への転職活動中は口外しない
・転職が決まったら速やかに上司に報告する
・円満退職を心がける
・モラルある行動を取る

上記4つの注意点に分けて説明します。
一つずつ見ていきましょう。

同業他社への転職活動中は口外しない

同業他社へ転職するときの注意点の1つ目は、転職活動中は口外しないことです。
同業他社へ転職活動をしていることは、社内でも社外でも口外しないことをおすすめします。
それは、伝えた時点で、相手に不信感を持たれて業務に支障が出る可能性があるからです。
特に、転職に否定的で、正義感の強い相手の場合、不快に感じやすいでしょう。
また、退職すると知った途端に、態度を変える顧客がいる可能性もあります。
人の価値観はそれぞれなので、マイナスな感情を抱く人もいることを意識して、慎重に進めるようにしましょう。

転職が決まったら速やかに上司に報告する

同業他社へ転職するときの注意点の2つ目は、転職が決まったら速やかに上司に報告することです。
応募先の企業から内定が出たら、できるだけ早く上司に報告するようにしましょう。
退職する際には、引き継ぎなどにも時間が必要です。
同業他社への転職に限らず、退職する場合は速やかに伝えるのがマナーです。
ただし、転職先の情報は伝えない方が無難です。
転職先の社名を出すことで、強引に引き留められる可能性もあります。
聞かれたとしても、回答するのは、担当する仕事内容などに留めておくことをおすすめします。

円満退職を心がける

同業他社へ転職するときの注意点の3つ目は、円満退社を心がけることです。
同じ業界で働いていると、今後も関わる機会が出てくる場合もあります。
会社に対して不満があって退職する場合でも、その不満を伝えるのは避けましょう。
もし、そのタイミングでトラブルに発展した場合、転職先に伝わる可能性もあります。
感謝の気持ちと、前向きな退職理由を伝えることで円満な退職につなげられるでしょう。
その際には、社内の引き継ぎや、社外への退職のあいさつも忘れずにしておきましょう。

モラルある行動を取る

同業他社へ転職するときの注意点の4つ目は、モラルのある行動を取ることです。
退職前に、転職先の企業情報を公開しないようにしましょう。
また、転職後も前職に対してモラルのある行動が必須です。
前職の問題点や不満を、転職先に流さないようにしましょう。
モラルに欠けた行動をすると、常識がないと判断され、いずれ自分の立場を悪くする恐れがあります。

同業他社への転職に関するQ&A

ここで、同業他社への転職について、気になる質問と回答を紹介します。

・同業他社へ転職したことは、前の職場に知られますか?
・退職時、競業避止義務が書かれた誓約書にサインしなければいけませんか?
・同業他社には転職しやすいですか?

上記3つの質問に対して、一つずつ回答します。
不明点や疑問点を解消して、新しい領域で自分のスキルを生かしましょう。

Q. 同業他社へ転職したことは、前の職場に知られますか?

前職の職場の人に、転職先の社名を伝えると、うわさが広がり知られてしまう可能性は高いでしょう。
また、セミナーやコンペ、共通の取引先などから伝わることもあります。
前職で知り得た機密情報を流すなど、損害を与える行為をしていなければ、同業他社への転職は悪いことではありません。
そのため、転職後に知られたとしても堂々としておくとよいでしょう。

Q. 退職時、競業避止義務が書かれた誓約書にサインしなければいけませんか?

退職時に競業避止義務についての誓約書にサインを求められた場合、必ずしも応じる必要はありません。
署名しないと退職を認めないと言われた場合でも、退職届を提出した後であれば2週間後には退職できます。
ただし、サインをかたくなに断ると、円満退職できなくなる可能性があります。
そのため、サインしないことを理解してもらえるよう説明し、納得してもらう必要があります。

Q. 同業他社には転職しやすいですか?

経験者として、これまでのスキルや経験が生かせるため、転職しやすい傾向にあります。
ただし、志望動機を論理的に説明できなければ、採用にはつながりません。
応募先の企業が求める人物像に合わせた志望動機や自己アピールが必要です。
同業他社への転職といえども、企業研究を怠らずにしっかりすることをおすすめします。

同業他社への転職はジョバディにお任せください

ここまで、同業他社への転職を考えている人に向けて、注意点やメリットを紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
同業他社への転職は、経験者という大きな武器がある一方で、注意点もあります。
また、同業他社への転職だからこそ、企業分析もしっかりする必要があります。
企業分析を徹底するためには、転職エージェントの利用も有効的な方法です。
その転職エージェントの1つとして、ジョバディへの登録をおすすめします。
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