
飲食業から異業種への転職はどこがおすすめ? 経験を生かせる業種も解説
「これまで飲食業だけの経験しかないが、異業種に転職をすることができるのだろうか? 飲食業で培ったスキルを生かせる業種があれば挑戦してみたい」
飲食業で働いていてこの記事にたどり着いた方は、こんな悩みを抱えているのではないでしょうか。
日々、ハードワークになりがちな飲食業においては、どうしてもすぐには解決しない勤務形態の悩みから転職を検討される方が多いようです。全く違う業種への転職をしたくても、飲食店勤務だけの経験しかないことが気になり、なかなか一歩が踏み出せない人が中にはいるかと思います。
この記事では、飲食業での経験を生かしやすい業種の紹介や転職活動にあたっての具体的な動きを解説しています。具体的には、以下の内容です。
●異業種に転職する場合、飲食業で得られるコミュニケーション能力や売り上げアップや管理能力はプラスになる
●転職先としては、専門知識を生かせる食品、営業・接客・介護など人に接する仕事、製造・ITなど真逆の仕事、建設など人手不足の仕事などがある
●転職を成功させるには、自己分析や情報収集がポイント
●面接のコツとしては、経験を棚卸ししてアピールポイントを明確化しておくことなどが挙げられる
それでは、詳しく解説していきます。
飲食業から異業種への転職を考える理由
転職理由はさまざまですが、ここでは以下の飲食業にありがちな転職理由について深掘りしていきます。
・労働時間が長い
・長時間の立ち仕事がつらい
・人間関係に悩みを抱えている
・有給休暇や土日祝日の休みが取りにくい
・収入が少なく昇給も難しい
・将来性が見いだせない
一つずつ詳しく見ていきましょう。
労働時間が長い
飲食店によって異なりますが、一般的に飲食店は労働集約型で、営業時間を長くするほど売り上げが上がる業態です。つまり、他業種と比べて労働時間が長くなりがちであることが転職理由の一つになるようです。さらには居酒屋などの深夜営業のある営業スタイルでは、不規則な生活がつらいといった要因もあるでしょう。
また、やむを得ない理由で突発的に出勤しなければならない確率が高い業態です。例えば、アルバイトのスタッフが欠勤した場合や、社員が解決する必要があるトラブルが発生した場合などは休日返上で対応する場合があります。人手不足に悩む職場も多く、急いで出勤したからといって代休が取れるかといえばそうではないことも問題です。
ただでさえ長時間労働であることに加え、開店前・閉店後にも仕事があることも離職につながる要因になり得ます。
長時間の立ち仕事がつらい
飲食店の仕事の大部分がキッチン・ホールなどに関わらず立ち仕事がメインであり、客数が多いときはずっと立っていることも珍しくありません。特に混雑する時間帯には、注文を記憶しながら動き回るということが余儀なくされ、頭も体も疲弊してしまいます。
けがや体調不良でパフォーマンスが落ちやすく、年齢の影響も受けやすいので将来にわたって不安を感じやすい業界ともいえます。
先述したように人手不足により、ただでさえ出勤日数が連続しがちな上に、体力的にハードな仕事なので、特に長時間労働の人には負担となるケースもあります。
人間関係に悩みを抱えている
どの業界でも共通していることですが、飲食業は特に人間関係の悩みが多い傾向にあります。
理由としては、店舗運営をチームとして役割分担していることで、常にお互いに関わり合いながら働いているという環境がまず一つあります。また、正社員からアルバイト・パートまで雇用形態が幅広く、年齢や性別も違うという点が大きいでしょう。
働くスタンスも違えば、経験年数や業務を覚えるスピードにも差があるため、余計に人間関係の悩みとして捉えてしまいがちです。自分より年上のパート従業員をマネジメントする立場にはあるが、なかなか指示に従ってくれないなどの管理職としての悩みもあるはずです。
さらに飲食店の規模では、従業員数に制限があり、気が合わないスタッフとも付き合っていく必要があるのも悩ましい点かもしれません。
有給休暇や土日祝日の休みが取りにくい
ほとんどの飲食店においては土日祝日が稼ぎ時であるため、家族や友人に合わせての休みが取りにくいという悩みもあります。
それに加えて、有給休暇の申請が出しにくい面もあるようです。理由としては、繁忙期との兼ね合いで休暇申請が出しにくいことが一つです。また、あらかじめ休みたい日を申請できたとしてもシフト勤務の調整で休日にすることができなければ、有給休暇の取得までには至らないという点も考えられます。
その裏付けとして、厚生労働省が行った「令和5年就労条件総合調査」では、有給休暇の取得率は他業種の平均より「宿泊業、飲食サービス業」が49.1%と最も低くなっています。
また、労働時間が自分でコントロールしにくいことも、転職理由としてよく挙げられます。
収入が少なく昇給も難しい
転職を考える直接的な理由として、収入が少ないことや昇給が難しいということもあります。飲食店の経営に関わらない従業員として働く場合、仕事領域の多くはマニュアル化されている場合がほとんどです。コミュニケーションスキルが高ければ、技術的なスキルがなくてもある程度問題がないとされていることが多く、低収入になる要因となっているようです。
その裏付けとして、厚生労働省が行った「令和5年賃金構造基本統計調査」では、正社員の賃金は他業種より「宿泊業、飲食サービス業」(259.5千円)が最も低くなっていることがわかります。
また、長く勤めたからといって業務内容が変わるということがあまりないので、給料がアップしにくい現状があるようです。そのため年齢に関係なく低収入である傾向が見られ、収入を理由に転職せざるを得ないケースも多いようです。
将来性が見いだせない
飲食店での経験だけでは将来性におけるスキル不足を感じて不安を抱えている場合もあります。というのも、飲食業においても日々の接客業務を通じて対人スキルは身に付きますが、ビジネスマナーなどの汎用スキルが身に付きにくいという点に不安があるようです。
いわゆる「つぶしがきく」オフィス系の仕事に比べて、飲食業の経験で身に付く知識はより限定的で、飲食業以外に応用しにくいという難点があります。
もちろん、この先もずっと飲食業でやっていくモチベーションが高ければよいのですが、先述したような体力面であったり収入面であったり、転職の理由は複合的になる場合がほとんどです。仕事を続けるにあたって、そうした迷いがあると将来に不安を感じやすいでしょう。
ただし、自分自身では見えていない「ポータブルスキル」と呼ばれるような他業種に生かせるスキルを習得している場合もあります。アピール次第で転職に優位に働きますので、注意深く日々の業務を振り返ることをおすすめします。

転職に有利! 飲食業で身に付くスキル10選
先の章で説明したように、自分自身ではスキルがないと思っていても接客などの経験を通して身に付いているスキルが必ずあります。ここでは以下の例を挙げています。
・コミュニケーション能力の高さ
・TPOをわきまえた言葉遣いや礼儀作法
・人のマネジメント能力の高さ
・他者との協調性
・調理・食べ物に関する知識
・売り上げ・在庫管理能力の高さ
・売り上げアップへの貢献度の高さ
・外国人対応能力
・顧客ニーズを把握する能力
・忍耐力の強さ
一つずつ詳しく見ていきましょう。
コミュニケーション能力の高さ
接客経験を通して身に付くスキルとしては、何といっても「コミュニケーション能力」ではないでしょうか。どんな仕事においても重視されるスキルであることは明らかです。
飲食店では、幅広い年代の客層・スタッフと働くため、自然とコミュニケーション能力が高くなることが多いようです。また、接客対応においては、その店舗自体の評価を左右するポイントにもなるため、接客アンケートなどで自身のコミュニケーション能力を振り返るタイミングが多いことでしょう。もし第三者からコミュニケーション能力を褒められた経験があれば、転職する際のアピールにもなります。
TPOをわきまえた言葉遣いや礼儀作法
日頃の接客を通して、相手を不快にさせない言葉遣いや振る舞いを身に付けた人も多いことでしょう。そうした相手の要望をくみ取る傾聴力や観察力も、転職活動では高く評価されます。
またビジネスマナーとしては、丁重な電話対応も経験としてアピールできます。
そのほか接客業においては、清潔な身だしなみに配慮している人も多いのではないでしょうか。ビジネスシーンでは初対面から受ける影響も大きく、そうしたビジネスマナーの感覚がある人も好印象を与えます。
人のマネジメント能力の高さ
これまでに店舗経営を任されていた経験があれば、人をマネジメントするスキルが身に付いていることでしょう。また、店長として一人で店舗の運営管理をしているような場合もあります。そのような場合には、アルバイトの採用業務から勤怠管理までありとあらゆるマネジメントを経験していることも珍しくありません。
目に見える結果としてのマネジメント能力においては、目標を立てる力、達成する力などがそれに該当します。転職活動時に具体的な数字を示してアピールすれば高い能力として優遇されますので、過去のデータを併せて確認してみましょう。
他者との協調性
飲食店においては、日々繰り返される繁忙のタイミングを仲間と協力して乗り越えているのではないでしょうか。自分の機嫌や感情などのコントロールをしつつ、忙しいときでもチームワークを発揮して働くことができる能力は、どの業種においても評価につながります。
また少人数で飲食店を回す上では、苦手なスタッフとも協調性が求められます。他者との関係を保つように努力をしていることは協調性が高いと判断される材料になります。協調性があることは幅広い業種で求められる能力なので、自信を持ってアピールしましょう。
調理・食べ物に関する知識
調理や食べ物に関する知識があることは、「食品加工メーカー」や「食品販売店」などが必要としているスキルでもあります。
また、管理栄養士や食品衛生責任者などの資格を有している場合、飲食店という業態にこだわらず、自ら料理教室を開いたり好きな食品を販売したりと独立することもできます。
勤めていた飲食店が特定の分野に特化している場合も、それを生かせる業種へ転職することも選択肢としてありです。例えば、喫茶店で働いていた場合はコーヒーの知識を生かして、コーヒー豆の営業職へ転身することも不自然ではありません。
売り上げ・在庫管理能力の高さ
これまでに売り上げ管理や在庫管理を任されていた経験がある場合は、プラスアルファでアピールポイントにつながります。ビジネスにおいてはどの業界においても、コスト意識や売り上げ目標達成に関わる能力が評価される傾向にあるからです。
売り上げ管理とひと口に言っても、商品の「需要の把握」や「適切な販売時期の見極め」などマーケティング能力に関わる部分が必要です。また在庫の管理においては、コスト削減を考慮した適切な発注・発注ミスの防止策など、仕事への取り組み方をアピールする材料にもなります。
転職活動においてこのようなスキルをアピールする場合には、エピソードとともに実際の数字を提示すると評価されることも多いのでおすすめです。
売り上げアップへの貢献度の高さ
これまでの飲食店の運営において、売り上げアップにコミットした実績があれば積極的にアピールしましょう。成果につながったアイデアやその過程が評価されることがあるので、エピソードは具体的に伝えます。例えば「新しいメニューの開発をしてサービスの満足度を高めた」「お店の宣伝活動としてSNSを活用して集客率をアップした」などです。
また、具体的な数字や事例を用いると、より強いアピール材料になるのでおすすめです。例えば、「お客さまアンケートを実施して、目標の満足度◯%を達成に向けてサービス向上に取り組んだ」や「昨年同月比で◯%集客率をアップし、売り上げ目標を達成した」など数字を交えると、一気に伝わりやすくなります。
外国人対応能力
観光地などで外国人対応をしている場合、評価が高くなる場合があります。特に「語学力」や「異文化への理解」は高く評価されがちです。
「スムーズな接客のために英会話を学んだ」など実際に努力したことがあれば、忘れずにPRをしてください。語学力だけでなく、仕事に前向きに取り組む姿勢がアピールポイントになり得ます。
また、飲食店においては外国文化との違いに敏感な場面が多く、宗教の戒律など知っておきたいことを心得ていると評価につながります。多様な言語や文化に柔軟に対応できる人材であることも同時に伝わることでしょう。
顧客ニーズを把握する能力
顧客ニーズを把握する能力に長けているのも強みです。例えば、食事の目的がお祝いごとであった場合には、適切な声かけや配慮が必要なこともあるでしょう。子ども連れの場合には、顧客から直接言われなくても子ども用の椅子を準備したり、取り分けの皿を提供したり、先回りしたサービスで感動を与えることもできます。
実際に感謝されたエピソードなどがあれば、何気ないことでもPRの材料になります。飲食業界以外の仕事においても気遣いができるなど、評価につながる可能性も高いのは間違いありません。
忍耐力の強さ
飲食業で培った忍耐力も評価対象になることが多くあります。
接客の現場では当たり前に対応しているかもしれませんが、「当たりの強い顧客に対しても笑顔で対応する」「理不尽なクレーム対応に耐えつつ理解を促す」など、さまざまな経験から身に付いた接客スキルもあることでしょう。
もちろん大変なことに耐えるだけではなく、気持ちの切り替えがうまくできることや、プレッシャーに強いなどの言い換えをするとプラス評価されることがあります。

飲食業からの転職がおすすめの業種
せっかく飲食業で得た経験があるのなら、なるべく生かせる業種を選びたい方もいるのではないでしょうか。次に、転職するにあたっておすすめの業種について解説していきます。
・営業職
・接客・販売業
・食品業界
・介護職
・製造業
・ITエンジニア
・事務職
・建設業
一つずつ詳しく見ていきましょう。
営業職
「営業職」自体には特定の資格が必要ということはありませんが、何よりコミュニケーション能力が必須です。しっかりと売り上げを生み出すためには、多くのお客さまとコミュニケーションを取らなければなりません。不特定多数のお客さまと関わるという点では、飲食業と同じではないでしょうか。
具体的には、初対面でも好印象を与えられる話し方やマナー/お客さまの困りごとやニーズをくみ取る洞察力などがあるとより活躍できるでしょう。それらは経験によって身に付く部分が大きいので、飲食業の経験で培った能力が重宝されるはずです。
また営業職はどの業種でも募集があるため、求人が多いというのもおすすめのポイントです。食品会社など、興味のある業界に挑戦してみてはいかがでしょうか。
接客・販売業
接客技術やコミュニケーション能力を生かせる業界として、「接客・販売業」もおすすめです。店舗訪れるお客さまに応対するスタイルは、飲食店と通じるものがあり、実際に自分が働く姿も想像しやすいのではないでしょうか。
また、アパレルや宿泊施設など、求人の選択肢も多いので自分の興味がある分野に挑戦できます。
飲食店と同じく土日祝が繁忙のタイミングなので、どうしても休みが不規則になりがちです。場合によっては、動き回ったり体力が必要なこともあったりするでしょう。土日祝が休みの「コールセンターでの販売」や体力の消費が少ない「受け付けカウンターの接客」など、業態を選ぶことができますので、飲食業からの転職理由とよく照らし合わせて決定してください。
食品業界
食品関連の知識を生かして「食品業界」に転職するのもありです。飲食業からの転職者に人気が高い業界でもありますが、もともと食が好きで飲食業の仕事に就いていた場合などは、その熱量を伝えるとライバルと差を付けやすくなるでしょう。
食品メーカーなどであれば、食を追求する仕事をしながら土日祝の休みが取れる環境に身を置くことができます。さらに、食品メーカーでの商品開発やマーケティングに関与できることも多く、それらの分野を目指すのも実際に飲食店で販売していた経験があるとアピールポイントになります。特定の強みを持っている場合は、食品メーカーなどであれば携われる分野の選択肢が広がる場合があるので積極的にアピールしましょう。
介護職
人の役に立ちたい、人と接することが好きであれば、利用者とコミュニケーションを取る「介護業界」も相性が良いでしょう。介護職の場合は、個人と長く付き合うことが多く、高いコミュニケーション能力が求められます。
中にはうまく意思が伝えられない利用者もいますので、察する能力や傾聴力が必要です。また、暑くないか寒くないかなど様子を確認しながら、適切な声かけをする気遣いも求められます。
飲食店での経験の中には、お客さまの様子に合わせたサービスを提供して満足度を高め、リピーターになってもらうなど、介護職と似たような場面があるのではないでしょうか。また転職を急ぐ事情があれば、介護業界は働き手不足で需要が高く、比較的転職しやすいのでおすすめです。
製造業
飲食業で培ったスキルとは真逆の部分もありますが、場合によっては「製造業」への転職もおすすめです。これまで接客業を経験したからこそ、一人で仕事がしたい/人と関わる回数が少ない方がいいなどの希望を持っている場合は最適です。
ただし、製造業であっても製造ラインを共にしている社員間で、お互いにフォローし合うような動きはもちろん必要です。寡黙に仕事をこなす社員がいる中で、チームのコミュニケーションを円滑にしてくれる人材がいれば重宝されることでしょう。
また会社の選び方次第では、「土日祝は休日」「残業が少ない」といった飲食業では難しい就業環境を目指せます。注意点としては、立ち仕事や力仕事が多いため、飲食業と同じく体力は必要です。体を動かすことが苦ではない方は、選択肢の一つとしておすすめです。
ITエンジニア
「ITエンジニア」は、システムの開発などのプロジェクトをチームで達成する動きが主流です。一見飲食店とは全く異なる分野に思えますが、コミュニケーションを密に取り合う点では飲食店の運営に通じる部分があるのではないでしょうか。さらに、クライアントの要望をくみ取るスキルが求められますが、飲食業における感覚とスキルをフルに活用できます。
また、IT需要の急激な拡大に伴い人手不足な業種であるため、採用範囲を未経験者まで広げている企業もあります。特に20代の若い世代であれば、将来性を見越してスクールに通い、ある程度の知識を付けた上で転職に臨むという手があります。製造業と同じく環境ががらりと変わる上、飲食業の環境とは正反対の職場で働きたい人におすすめです。
事務職
「事務職」は、タスク管理、社内の業務を円滑に回すためのマネジメント能力や社内外のやり取りで発生したニーズに対する把握能力が評価される業種です。
また、収入は低くなりがちですが未経験での採用を行っている企業も多いため、比較的挑戦しやすいといえるでしょう。働き方においては、「土日祝の休暇」や「残業がほぼなし」など、ワークライフバランスを優先する人におすすめです。特に飲食業からの転職理由に「体力面の不安」がある場合には、デスクワークが中心の事務職であれば不安の解消ができるでしょう。ただし未経験といえども、Excel/Wordなどの基本的なソフトを使えることなど、一定のパソコンスキルなどが求められる点に注意しましょう。
建設業
体力面に自信がある人は、未経験でも転職しやすい業種である「建設業」がおすすめです。建設業は、若手の就労が少なく慢性的な人手不足を抱えています。若手世代であれば、飲食業で培ったコミュニケーション能力と体力をアピールすることで、未経験であっても歓迎されるでしょう。
建設業には、施工/営業/設計など幅広い職種がありますが、転職に必須の資格はありません。転職後にさまざまな資格を取得できる可能性が高いので、年収アップを狙って段階的にスキルアップを図るのもおすすめです。
現場を仕切る役割を担っても、飲食店で経験したマネジメント能力が発揮できることでしょう。チームで円滑なコミュニケーションを取りながら働くことは、あらゆる業務で必須なスキルであることは間違いありません。

飲食業から異業種への転職を成功させるコツ
ここまでで、飲食業からの転職に向いている業種についての理解は深まったかと思います。次に、実際にどのような動きを取ればいいのかを以下の内容で解説いたします。
・転職活動は退職前から始める
・自己分析を丁寧に行う
・転職サイトなどで情報収集する
・必要な資格はできるだけ取得しておく
・志望先を決めて仕事内容を理解しておく
・経験やスキルをベースに自己PRを考える
・20代の場合
・30代・40代の場合
・志望動機や転職理由を明確にする
一つずつ詳しく見ていきましょう。
転職活動は退職前から始める
転職活動の基本は、在職中から行うことです。特に異業種への転職を検討している場合は、退職してからの転職活動はリスキーなので避けましょう。人によって転職活動の期間は異なりますが、数カ月と長期戦になった場合を想定しておく方が無難です。
転職活動においては選考を受けて結果を待つという繰り返しの中で、心理的な不安が付き物です。さらに貯金が減っていく状況の焦りから不本意な転職をしてしまう可能性があります。そのような経済的な不安を軽減するため、退職前からの転職活動がおすすめです。
また、ズルズルと長引かせると転職活動の時間の確保やモチベーションの維持にも苦労するので、ある程度期間を決めて転職活動へ臨むのがおすすめです。期間を決めて転職活動ができるのも、在職中に転職活動を行うからこそできることです。
自己分析を丁寧に行う
転職活動にあたっては、事前の自己分析を丁寧にしておくと、志望動機や自己PRに活用できます。まずは、自分の強み・弱みをノートに書き出すのがおすすめです。あまり難しく考えず、ささやかなことでも思い付いたままにメモすればOKです。書き出しながら整理していきましょう。
ある程度書き出すことができたら、今度は過去に褒められたことや感謝されたことなどのエピソードを集めてみましょう。客観的にどのような強みがあるのかを再認識でき、面接時に自己PRとして話すことができます。
自己分析を行うことで、本当にやりたい仕事が見えてくるので確固な気持ちで転職活動に臨めるでしょう。自己分析は、就職後の「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを防ぐ意味でも有効です。
転職サイトなどで情報収集する
自己分析ができたら、次のステップでは転職サイトで情報収集してみましょう。それにより自分の希望する内容が現実的なのか、どのくらいの求人数があるのかなどを把握でき、転職活動が成功しやすくなるので必ず行います。
転職サイトは絞り込み機能を活用して、休日日数や給与、会社の規模感などを把握しておくとよいでしょう。求める条件を明確にすれば、より志望する企業を見つけやすくなるはずです。
もし、思ったよりも求人数が少なかった場合は、希望の条件に優先順位を付けて再度検索してみてください。この繰り返しで求人への難易度の感覚がつかめ、うまくいかないときでも納得感を持って挑戦できます。
必要な資格はできるだけ取得しておく
すでに興味のある業界や企業があるのであれば、働きながら資格取得しておくのもよいでしょう。先述の通り、転職活動自体もできる限り在職中に進めるのがおすすめですが、併せて資格取得も計画的に進めるとスムーズです。
一般的にはまず書類選考があり、その企業に興味を持たれてはじめて面接に進むパターンが多いでしょう。そのため、面接へなかなか進まない場合の対処策としても有効です。
特に新しいジャンルに挑戦したい方や経歴に自信がない方は、資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。
仮に資格はマストではない求人においても、資格があった方がやる気があると判断されるので採用後の期待度にも影響します。キャリアプランを考える上でも、どのような資格が必要なのか調べておくとよいでしょう。
志望先を決めて仕事内容を理解しておく
志望先が決まったら「企業研究」「業界研究」として、どんな会社でどのような仕事をするのかを調べておきます。異業種への転職であるため、一方的な希望や理想で的外れな志望動機にならないように、仕事のイメージをしっかりと持っておくことが重要です。
求人サイトなどだけではなく、企業のWebサイトなども参考にすると理解が深まります。より熱意の伝わる志望動機を練ることができるでしょう。
また、企業研究で見るべきポイントは「企業理念/社風/仕事内容/福利厚生/給与・昇給」など多岐にわたります。同じ業界で似たような事業内容の会社があったとして、なぜ他社ではなく志望先の企業でなければならないのかを説明できるようにしておきましょう。
業界研究では、その業界で働く友人にも尋ねてみるのもおすすめです。
経験やスキルをベースに自己PRを考える
自己PRについては、飲食業界で培ったスキルや経験を洗い出して、自分の強みを明確にしておきましょう。先述の「企業研究」を基に、企業のニーズに合うものを選び、履歴書や志望理由書を作ります。未経験の分野であっても「ポータブルスキル」と呼ばれるような、他業界に持ち運びがきくスキルがあるはずです。
例えば、「初めはワインについての知識がなかったが、自ら興味を持って勉強をしてその店舗のワイン担当として前線で接客を任されるようになった」「接客時のクレームやトラブルが発生したときには、店舗の責任者として丁重に対応することで、かえってお店のファンになってくれた」など、具体的なエピソードを盛り込むとなおよいでしょう。自己PRの内容は、経験やスキルの差として年代によって求められる内容が異なる点にも注意が必要です。
20代の場合
20代の転職では、入社後のキャリアやスキルを身に付けるために努力していることをアピールするとよいでしょう。将来への期待から実績よりも「ポテンシャル重視」の採用で、フットワークの軽さや体力も求められている場合が多いようです。
もちろん経験があれば生かしたいのですが、これから経験を積むのにも十分に余裕がある年代です。自己PRをする際には、企業側の視点になって考えてみて「いかに前向きに学ぶ姿勢があるか」や「失敗にへこたれず諦めずに努力できること」など将来の展望が想像しやすいエピソードを伝えるとよいでしょう。
20代は、若さを生かして自分のやりたいことに挑戦するのもありです。未経験者だからこそ、素直に知識を吸収してくれることに期待している企業もあります。
30代・40代の場合
対して30代以上の転職では、20代とは異なり、実績やスキルが重視されます。年代的にも手取り足取りの教育はあまり想定しておらず、自発的な動きを取れるような「即戦力」を期待されます。そのため、採用担当者がより判断しやすくなるような数字的な根拠を持ったPRが必要です。
例えば「前職の飲食店では◯人のアルバイト社員を一人でマネジメントしていました。初めはアルバイトの入れ替わりが多く苦労しましたが、相談しやすい環境づくりに努め、翌年には離職率を◯%少なくすることができました」などと数字で説明します。
未経験の業界であってもその企業に求められているスキルを見極め、「入社後に発揮したいこと」を仕事内容と絡めてアピールすることが大切です。
志望動機や転職理由を明確にする
特に未経験の業界にチャレンジする場合は、転職理由について詳しく質問されるはずです。質問の背景には、「前職でトラブルを起こして退職に至ったのではないか」「採用してもすぐに辞めてしまうのではないか」といった採用後の不安があります。そのため、転職理由や志望動機を明確にすることが重要です。
まず、面接官の不安を払拭するには、転職理由に前職の愚痴を言うのではなく「飲食業での接客は好きでしたが、将来にわたって体力面の不安からワークライフバランス考慮して、接客に関わる仕事へ転職を考えました」などと限定的な理由を伝えると好印象につながります。
また、志望動機も同様に、「◯◯の経験から、この業界に興味を持った」と面接官の不安や不信感をぬぐう内容を考えてみましょう。
飲食業からの転職を成功に導く面接のコツ
どうしても緊張しがちな面接ですが、事前に対策をすることで話す内容にも自信が出て、成功につながりやすくなります。ここでは以下のポイントに絞って解説します。
・アピールポイントを言語化しておく
・飲食業での経験を棚卸しする
・企業研究を行う
一つずつ詳しく見ていきましょう。
アピールポイントを言語化しておく
先述した通り、面接対策としても自己分析はおすすめです。納得がいくまで繰り返し自己分析をしながら、アピールポイントを明確にしておきましょう。
忙しい日常では深く考えていなかった価値観の軸、強み/弱みにまで向き合うことができていると、面接時に志望動機を聞かれても説得力のある回答ができるようになります。
また、短所だと思っていることも深掘りして考えることができれば、「慎重すぎて思い切りが足りないが、ミスが少ないので在庫管理を任されていた」などプラスの表現で伝えることができます。採用後の姿をより良く想像してもらうためにも、自己分析で導き出したアピールポイントをどう生かせるかなど、キャリアビジョンや貢献できることを言語化しておくとより効果的です。
飲食業での経験を棚卸しする
面接対策としては、飲食業での経験を棚卸ししてアピールポイントを見つけるのも有効です。
棚卸しのやり方は、過去の成果や失敗を思い付くままに洗い出し、精査します。完璧な成功体験でなくとも、失敗から得た学びやどう対策してスキルとして身に付いたかなどを考えることが重要です。
会社からの指示に従うだけでは自己PRとしては弱いので、自発的に問題解決に取り組んだり、目標達成のために工夫したりできた経験を出せれば、面接官からの評価も高まることでしょう。
企業研究を行う
面接時に、個人と企業の希望が相互に合致していることを伝えるためには、志望先企業についての理解を深めておくことも重要です。憧れの業界に入社できたとしても、会社そのものの風土が合わないなどで早期離職につながってしまうこともあるためです。そのような入社後のミスマッチを防ぐため、徹底した企業研究を行いましょう。
面接時には企業側からも自社に適した人材であるかどうかの質問が飛んできます。企業研究をしておけば、どのような人物を求めているかを事前に知ることができます。
企業研究のやり方としては、企業のWebサイトを見てみましょう。会社の理念や風土、従業員のロールモデルなど、転職する上で必要な情報も含まれています。実際に自分が働く姿を想像してみて、無理のない職場を選ぶようにしてください。

飲食業で働き続けない方がいいのか?
結論として、現行の業務が苦しいと感じているのなら転職を考えるべきです。もちろん人によって異なるので一概には言い切れませんが、人生の大部分を働く時間に費やすのであれば、今の忙しさを理由に転職を後回しにしてしまうことはもったいないかもしれません。
前半で示した厚生労働省のデータにもあったように重労働や低賃金といわれる業界であり、無理して働き続けるよりも転職を視野に入れて行動することもありです。
特に若いうちは転職先がすぐ見つかることも多いため、前向きに挑戦しやすいはずです。まずは他業種の就業環境を確認してみる、転職に優位な資格の勉強を始めてみる、などスモールステップを踏むことで意外と難しくはありません。
むしろ、モヤモヤを抱えたまま体力的にも厳しい環境で年を重ねてしまうと、転職への余裕が少なくなることも考えられます。また、年齢が上がるにつれ他業種への転職が難しくなりますので、その点も早い段階から考慮しておきましょう。
飲食業からの転職する際によくある質問
ここでは、飲食業から転職をするにあたってよくある質問を解説します。転職したいという強い気持ちがあれば、どの項目もクリアできる内容かと思うので、参考にしてみてください。
・飲食業から異業種へ転職する理由は?
・飲食業の平均年収は本当に低い?
・30代・40代の転職は難しい?
一つずつ詳しく見ていきましょう。
飲食業から異業種へ転職する理由は?
長時間労働や給与の上がりにくさが主な理由だとしている人が多いようです。飲食業という業態の特性上、土日祝日に休みが取りにくいのも原因の一つにあります。
それらの労働条件は、年齢が上がるにつれてますます厳しくなりますし、体力的につらいと思ったら転職を検討する価値があるでしょう。
この記事の前半には、飲食業から転職する理由を6つ挙げているので併せてご確認ください。
飲食業の平均年収は本当に低い?
年収に地域差はありますが、厚労省が運営する情報提供サイト「jobtag」の調べでは、飲食チェーン店の全国平均年収は約300万円となっています。飲食業界の中でも比較的単価が高いであろう日本料理人であっても約340万円と高くはないようです。
ただし、飲食店の価格においては地域差が大きく、年齢・経験年数によって年収は異なるためデータだけをうのみにしてはいけません。
現職を続けるかどうか悩んでいる場合には、勤め先の昇給制度や先輩の年収などを確認するのも転職するかどうかの判断材料になります。
30代・40代の転職は難しい?
どの業界からの転職であっても30代・40代の世代については、転職後に即戦力としての活躍を求められるため、20代よりもハードルは高くなりがちです。事前に資格取得をしておいたり、転職先の業界のことを調べたりして、学ぶ意欲があることをわかりやすく伝えるのも一つの手です。また、未経験可の求人への応募を検討すると転職が成功しやすくなるでしょう。
20代に比べ社会人としての経験年数が長いので、「飲食業で培ったスキルを具体的にこう生かしたい」と数字を取り入れながらアピールするものよいでしょう。
飲食業からの転職ならジョバディの活用がおすすめ
今回の記事では、飲食業から異業種への転職について詳しく解説しました。
過去の経験が飲食業のみの場合であっても異業種への転職はできなくはありませんが、万全の対策は必須でしょう。自分がどのようなキャリアを歩みたいのかを明確にして、転職活動に臨むことが重要です。
また、手探りの転職活動は誰しも不安を覚えるものです。実際に行動に移しにくいと感じている方は、まずは転職エージェントに登録してみるのがおすすめです。
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