転職しない方がいいケースがあるの? 迷ったときにやるべきことを解説
転職活動を始める前に、現職を続けた方がいいのかどうか、迷うことがあると思います。転職は、自分自身の生活や将来に影響を与える大きな決断です。
転職はどんな悩みも解決できるわけではなく、転職しない方がいいケースもあります。転職する際のデメリットも理解した上で、転職するか、しないかを判断することをおすすめします。
この記事では転職しない方がいいケースを紹介するとともに、転職を決断する前にやるべきことについても解説します。
●転職を迷う原因は、キャリアビジョンが曖昧な場合が多い
●転職を迷っているときは、勢いで辞めずいったん転職を留まった方がよい
●転職すべきかどうかの判断には、辞めたい理由やキャリアの棚卸しなど、自己分析を行うことが大切
●後悔しない転職のために、キャリアビジョンや仕事選びの軸をはっきりさせるのはもちろん、家族の理解を得ることも必要
この記事では、上記のそれぞれについて詳しく解説します。
順を追って読んだ方が理解しやすい流れになっていますが、気になるところだけを拾い読みしても参考になる内容になっています。
転職を迷ったときにチェックするべきポイント
転職するかどうか迷ったときに、まずチェックするポイントをまとめましたので、参考にしてください。
このプロセスを、現在の悩みの解決や将来のキャリアについて考えるきっかけにしてください。
・悩みの原因や理由と対処法を考える
・現職企業で解決できないか考えてみる
・転職そのものをゴールにしていないか
上記について、それぞれ見ていきます。
悩みの原因や理由と対処法を考える
転職を考える際に、迷っている理由や原因を自分自身で把握して、対処法を考えます。
何に悩んでいるのかを明確にするために、具体的な不安や不満を紙に書き出します。スマホやPCに入力しても、もちろんOKです。文字にすることで、現職で感じている問題や、転職を検討する動機がよりはっきりと見えてきます。
よくある理由としては、現在の職場における人間関係や仕事内容、報酬などの労働環境が挙げられますが、その悩みが転職することで解決できるかどうかを考えます。
これらの悩みの理由については、次の項でそれぞれ詳しく解説します。
ただ、転職についてすでに十分に考えており、希望の職場が見つかるかどうかだけが不安な場合は、転職を希望する業界について調べることから始めてみてください。
人間関係
職場の人間関係は、多くの人が悩むもので、転職理由の中でも主な要因となっています。
中でも、上司との関係が悪化すると、仕事へのモチベーションや生産性に直接的な影響が大きいのも事実です。
上司との人間関係が悪化する主な原因として、以下のような例が挙げられます。
・性格が合わない:価値観やコミュニケーションスタイルの違いがストレスにつながる。
・すぐ感情的になる:感情の起伏が激しい上司は、部下に不安感を与える。
・指示がコロコロ変わる:一貫性のない指示により、部下が混乱や無力感を覚える。
・手柄を自分のものにする:部下の成果を認めず、自己中心的な行動を取る。
こうした問題が長引くと、仕事そのものへの意欲を失い、精神的な負担が増していきます。
また、上司との関係性だけでなく、職場の人間関係の問題は起こり得るため、以下のような対処法を実践すると、状況の改善や精神的な負担を軽減できます。
・ネガティブに捉えすぎない:
問題に直面すると、つい悲観的になりがちですが、冷静に状況を分析することで解決策が見えてくる場合もあります。
・相手を気にしすぎない:
相手の行動や態度に過度に振り回されないよう、自分の軸を持つことが重要です。
・相手の話を聞いてみる:
相手との会話を増やし、互いの誤解や価値観のズレを少しずつ解消していく努力も効果的です。
・自身の考えや行動を改めてみる:
自分自身の捉え方や態度を見直すことで、相手との関係性が変わることも少なくありません。
もし定期的な異動がある会社であれば、状況の改善を期待して異動を待つという選択肢も検討できます。しかし、以下のような場合には、すぐに転職を検討することが適切です。
・会社全体がパワハラ気質:組織全体に問題が根付いている場合、個人で状況を改善するのは難しい。
・精神的に追い詰められている:心身に深刻な影響が及ぶ前に、早急な行動を起こすべきです。
仕事内容
仕事の内容に不満を感じ、自分に向いていないと悩むことは、誰にも起こり得る普遍的な悩みといえます。
1年ほど働くと、仕事内容や会社の方向性が、自分にどの程度合っているかが見えてきます。この時期には、仕事に慣れる一方で、同じ業務の繰り返しが退屈に感じることも少なくありません。
こうした場合、仕事との向き合い方を見直すことで、意識を変えられる可能性があります。例えば、「毎日同じ作業でつまらない」と感じるなら、「目標を設定し、それに向けてスキルを磨く時間」と考えて見方を変えてみます。成長のチャンスと捉えれば、やりがいや達成感を得るきっかけになります。
自分の意識を変える工夫を試しながら、仕事との新たな関係性を築いてみましょう。それでも改善が難しい場合は、転職も選択肢として検討してみてください。
仕事に対するモチベーション
仕事に対するモチベーションが上がらず、やりがいや楽しさを感じられないとき、気持ちの面で苦しくなることがあります。しかし、こうした理由で業務を途中で投げ出してしまうと、後悔する可能性が高まります。転職後も同じ悩みを繰り返したり、短期離職が続いたりすれば、キャリアに悪影響を及ぼしかねません。
どんな仕事でも、一度やりきることで見えてくるものがあります。達成感や新たなスキル、次のキャリアへのヒントなど、成果を手にすることで次の一歩をより前向きに踏み出せるでしょう。「今の仕事を続ける意味」を考えながら、しっかりとやりきることが、将来の選択肢を広げる鍵になります。つらいと感じるときこそ、自分の成長や学びに目を向けてみてください。
労働時間や環境
転職を迷う理由が労働環境にある場合、残業や休日出勤が原因で生活や健康に支障をきたしているなら、転職を検討するのがおすすめです。
心身に負担がかかりすぎている状況ならば、早めに行動しましょう。
ただし、残業の原因が自身の業務効率にある場合は、仕事の進め方を見直すことで状況を改善できる可能性もあります。タスクの優先順位を整理したり、時間管理を工夫したりして、自分の行動を見直してみましょう。
また、現在の職場や部署にのみ不満がある場合は、職場の窓口、または相談に乗ってくれる信頼できる上司などに相談してみるのも一つの方法です。異動などの解決策が見つかるかもしれません。
環境を変えるだけで問題が解消することもあるため、転職を決断する前にできることを試してみましょう。
評価や報酬
評価や報酬に不満を感じたとき、転職を考えることは、ごく自然な反応です。それでも、すぐに決断する前に、現職での改善の可能性を探ることをおすすめします。
期待する評価や報酬を得ることは、それほど容易ではなく、転職で必ずしも解決するわけではないからです。
自身の仕事ぶりを振り返り、改善の余地がないか見直してみましょう。それでも正当な評価が得られていないと感じる場合は、信頼できる上司や会社の窓口に相談してみてください。
また、現在の給与や福利厚生を他社と比較することで、自分の待遇が客観的に良いのか悪いのかを見てみます。業界の中で良い位置付けだとしたら、同じ業界で他社に移るのは得策とはいえません。
現職企業の将来性
転職するかどうか考えるときに、現在の会社の将来性は大事なポイントとなります。現職の企業の将来性に不安があるかどうかは、次のような点を確認します。
まずは、離職率が高い、赤字が続いている場合には要注意です。企業として対策を立てない、また新しいことに挑戦しない場合には、将来性に問題がある可能性が大です。
こうした状態が続くと、リストラや倒産につながることもあるかもしれません。突然仕事を失うような事態を避けるためには、早めに転職活動を始める方がよいでしょう。
他社の方が良さそうに見える
他社が魅力的に見えることはよくありますが、実際に働いてみないと分からないことも多いものです。表面的な事象に惑わされないためには、本当に他社の方が良いのかを確認しておく必要があります。
客観的に比較すると、実は、今の会社の待遇や社風が自分に合っている場合もあります。他社が良さそうに思えた場合は、実際に働いている人の口コミや評判を調べると役立つでしょう。
現職の悪い点ばかりに目を向けるのではなく、他社と比較することで現職の良さを再発見できることもあります。
現職企業で解決できないか考えてみる
悩みの原因を把握して整理できたら、現職で理想のキャリアを築ける可能性があるかどうかを考えてみます。
現職で理想のキャリアを築ける可能性があるなら、転職の必要はなくなります。
また、視野を広げて解決策を探ることも大切なチェックポイントです。例えば、今の部署だけにこだわらず、他部署と交流して、現在の会社での新しい可能性を探ってみるのも一つの方法です。別の部署で悩みが解消され、自分に合った仕事に出合えることもあります。
会社を変える前に、今の環境でできることを最大限試してみることが、後悔のない選択につながります。
転職そのものをゴールにしていないか
転職を考える際には、ただ転職することだけが目的やゴールになっていないか、立ち止まって考えてみます。
現状への不安や停滞感を解消したいという理由で、転職を手段として選んでいないか振り返ってみましょう。
転職には、キャリアアップをどのように実現したいのか、自分なりの目的が必要です。
この目的が不明確だと、転職後も同じ悩みを繰り返してしまう可能性があります。「とにかく転職ありき」で勢いだけで辞めるのはリスクが高い行動です。
転職しない方がいいケース7選
転職しない方がいいケースを紹介します。自分の悩みや状況が当てはまるかどうか、チェックしてみてください。
・キャリアの棚卸しが不十分
・転職後のビジョンが明確ではない
・今の仕事に飽きたなど感情的になっている
・短期間で辞めようとしている
・企業や他人など、他責で考えている
・ポータブルスキルが不足している
・管理職やマネジメント業務を行ったことがない
上記について、それぞれ見ていきます。
キャリアの棚卸しが不十分
転職を考える際、キャリアの棚卸しが不十分な状態で行動を始めるのは危険です。自分のスキルや経験、やりたい仕事や応募したい企業が曖昧なままで転職活動を始めると、最終的に希望に合わない職場に就職してしまう可能性が高まります。
転職活動は単なる仕事探しではなく、自分自身を深く見つめ直す機会でもあります。自己分析をしっかり行い、自分の強みや価値観、目指す方向を明確にすることが、転職成功への第一歩です。
キャリアの棚卸しを怠ると、後悔する結果になりかねません。転職を決断する前に、まず自分を見つめ直すことが重要です。
転職後のビジョンが明確ではない
やりたい仕事が明確でも、転職後のビジョンがはっきりしていない場合は、転職を見送る方がよいでしょう。
例えば、デザイン業界で働きたいと思っている場合、「デザイナーとしてクリエイティブな仕事をしたい」といった抽象的な理由だけで転職を決めてしまうと、入社後に「もっと戦略的な役割がよかった」「単純な作業が多すぎる」などの不満が生じることがあります。
その仕事でどのように活躍したいかを具体的にイメージしておくことが、転職後のミスマッチを避けるには必要です。
今の仕事に飽きたなど感情的になっている
現職に飽きたという理由だけで転職を決めると、転職後に苦労する可能性があります。
現職での業務がルーチン化し、スキルアップの実感が薄れてきた場合、「もう次に行こう」と思って転職を考えることもありますが、一時的な感情に流されるのは危険です。
十分にスキルを得て手ごたえを感じにくくなったのであれば転職を考えてもよいですが、ただ飽きたという理由で転職を決める前に、現職でまだステップアップできる余地がないか再検討しておくことが必要です。
今の職場で新しいプロジェクトに挑戦したり、異なる部署への異動を申し出たりすることで、マンネリ化を打破できるかもしれません。
転職は新しい挑戦であり、慎重に選ばなければ後悔が残ることもあるので、感情に流されず、より良いキャリアを築けるように計画的に進めましょう。
短期間で辞めようとしている
短期間で仕事に見切りをつけて転職を考えがちな人は、すぐに転職活動を始めない方がいいでしょう。仕事内容の把握には1年程度かかることが通常です。もし、2カ月程度で転職したいと考えていたとしたら、経験不足であり、転職活動でも経歴として見なされることはないでしょう。
また、短期離職は今後のキャリアに悪影響を及ぼす可能性もあります。転職履歴が頻繁であれば、企業側から「すぐに辞めてしまうのではないか」と懸念されてしまいます。
やむを得ない理由がない限り、短期離職は避けるべきです。
もし現職で不安や不満がある場合は、転職を決断する前に、自分がどのように改善できるか、またはもう少し時間をかけて状況を見極めることが大切です。
企業や他人など、他責で考えている
転職を考える際、その理由を他人や会社、環境のせいにばかりしている人は、転職を避けた方がいいでしょう。
転職によって新しい職場で悩みがリセットされると思いがちですが、実際には同じような悩みが次の職場でも出てくる可能性があります。結果として、短期離職を繰り返すことになりかねません。
悩みの原因を、自分ごとにせず、他責にする思考を続けていると、問題の本質を見誤り、自分自身の成長を妨げてしまいます。
ポータブルスキルが不足している
ポータブルスキルとは、どのような職場や環境でも生かせる汎用的なスキルのことを指します。コミュニケーション能力、論理的思考力、問題解決能力などがこれに該当します。新卒や入社したばかりの人は、ポータブルスキルが十分に身に付いていない場合が多いのが実情です。
ポータブルスキルが一定のレベルに達していない場合、職務経験や専門的なスキルが不足していて、アピールできる強みも少ないことが一般的です。
このような状況で転職を考えるよりも、まずはポータブルスキルを磨くことに集中する方が賢明です。ポータブルスキルを身に付けることで、どの職場でも通用する能力が得られ、転職後の成功確率も高まります。
管理職やマネジメント業務を行ったことがない
入社して数年が経過、または30代以降の方の場合、マネジメント業務や管理職としてのスキルが求められるようになります。
マネジメントの経験は、キャリアを積む上で大きなプラスとなり、将来的なキャリアアップや転職時に有利に働きます。現職でマネジメント経験を積んでから、転職した方が有利かどうかを検討してみてください。
また、勤続年数が浅い場合や、まだ、業務で十分な経験を積んでいない場合は、すぐに管理職に就くことを焦るよりも、まずは自分のキャリアを着実に積んでいくことが大切です。
転職した方がいいケース
これまで紹介したように転職しない方がいいケースがある一方、転職した方がいいケースがあります。
転職した方がいいケースについても、まとめました。両方のケースを知って、転職するべきかどうか考える際の参考にしてください。
・職場の労働環境が悪い場合
・成果が出ずつらい思いをしている場合
・現職の他にやりたいことが見つかった場合
・現職よりキャリアアップが期待できる場合
・転職先が求めるスキルと自分のスキルがマッチしている
上記について、それぞれ見ていきます。
職場の労働環境が悪い場合
職場の労働環境が身体的・精神的に大きな負担となり、日常生活に支障をきたす場合、その状況を放置するのは非常に危険です。
我慢を続けることで、うつ病や適応障害を発症し、復職までに1年以上を要する可能性もあります。
パワハラや不公平な会社の慣例、上司の理不尽な態度など、個人の努力では改善が難しい問題が原因であれば、環境を変える方が賢明です。
仕事におけるストレスが限界を超えそうなときには、転職という選択肢を考えてみましょう。
成果が出ずつらい思いをしている場合
自分の強みが十分に生かされていないと感じる場合は、その強みを生かせる環境へ転職するのも一つの選択肢です。
新しい職場で適性を生かし、活躍の場を広げることで、これまでの悩みが解消される可能性があります。一方で、なんとなく仕事をこなしているだけで成果が上がらない場合は、やる気や仕事への取り組み方を見直すことで改善できることも多いものです。
自分の役割や目標を再確認し、主体的に取り組むことで、現状を好転させられるかもしれません。
現職の他にやりたいことが見つかった場合
やりたい仕事が明確で現職で実現できない場合、キャリアを優先して転職を選ぶのも一つの方法です。
現職以外で魅力を感じる仕事が見つかり、その仕事が現在の職場では実現できないのであれば、環境を変えることはキャリア形成において重要な選択肢となります。
将来の目標ややりたいことが明確であれば、それを実現できる職場を探すことは前向きな決断といえます。
明確な目標がある転職は、次の職場でのモチベーションにもつながり、転職理由としても説得力があります。
現職よりキャリアアップが期待できる場合
現職よりもキャリアアップが期待できる環境や、キャリアやスキルを得られる転職先がある場合は、貴重な機会です。後悔しないようチャレンジすることをおすすめします。
現職に留まっても得られるものが少ないと感じるなら、環境を変えた方が可能性を広げることができるでしょう。
また、年齢や経験ではなく実績や実力で評価されたい場合は、ベンチャー企業や実力主義の企業への転職も選択肢の一つです。
転職先が求めるスキルと自分のスキルがマッチしている
転職先が求めるスキルと自分の能力がマッチしているとしたら、やはり貴重な機会なので、転職した方がいいケースといえるでしょう。
現職で自分のスキルが十分に生かされていないことに悩んでいるのであれば、そのスキルを生かせる企業に移る方がキャリアアップにつながるからです。
自分のスキルが求められる職場に出合うためには、日頃から自分の強みやスキルセットを整理して、市場における自分の価値を客観的に把握しておくようにします。
転職を決める前に知っておくべき転職のデメリット
転職を決める前に知っておくべき転職のデメリットをまとめました。これらのデメリットも、転職するかどうか考える際に、考慮に入れるようにしてください。
・給料が下がる可能性がある
・ローンなどの審査通過率が下がる
・人間関係を再構築する必要がある
・転職活動に費用がかかる
・上司が自分よりも若い可能性がある
・悩みが解決しないもしくは新しい悩みが生まれることもある
上記について、それぞれ見ていきます。
給料が下がる可能性がある
転職後は、現職よりも給料が下がる可能性があることを理解しておく必要があります。年功序列や勤続年数で給与が決まる企業からの転職では、給与が一時的に減少することは珍しくありません。
また、未経験分野や異業種への転職では、役職が下がったり、手当が減少したりする場合もあります。
現職で働き続けた場合の将来の待遇と、転職後の待遇を具体的にシミュレーションすることが大切です。長期的なキャリアプランを考慮し、自分にとって最も良い選択肢を見極めて行動しましょう。
ローンなどの審査通過率が下がる
転職を検討する際は、社会的信用や生活計画への影響を十分考慮することが重要です。
転職後は勤続年数がリセットされるため、住宅や自動車のローン、賃貸住宅の審査に通りにくくなる可能性があります。
一般的に、社会的信用が高まるとされるのは、同じ職場で働き始めて2~3年が経過してからです。そのため、大きな買い物や引っ越しなどの予定がある場合は、タイミングを慎重に見極める必要があります。
人間関係を再構築する必要がある
転職すると、新たな環境で業務を一から覚え直すだけでなく、人間関係を一から構築する必要があります。コミュニケーションが苦手な人にとってはこれが大きな負担となるかもしれません。
また、転職先で苦手な人や性格の合わない同僚と仕事をする可能性も否定できません。現職で人間関係が良好な場合は、そのギャップを感じることがあるでしょう。
さらに、新しい環境を受け入れることが難しい人にとっては、慣れるまでに相応の時間と労力を要することが考えられます。環境の変化に対する自分の適応力を考慮した慎重な判断が求められます。
転職活動に費用がかかる
転職活動には意外と費用がかかります。交通費やスーツ代、さらに遠方の企業の場合は宿泊費などが、必要な費用として挙げられます。
そのため、転職活動を始める前に、自分の収入や貯蓄額、必要な経費を見直し、生活に支障が出ないよう計画を立てる必要があります。
費用がかかることも、退職せずに転職活動を行う方がよい理由の一つです。
上司が自分よりも若い可能性もある
転職して設立から数年の会社に入社する場合、業種によっては上司が自分より若いケースも珍しくありません。
特に新興企業やスタートアップなどでは、経験豊富な若手社員が早期に管理職に昇進することもあります。しかし、年下の上司の下で働くことに抵抗を感じる人も少なくありません。プライドや経験に基づく自信がある場合、年齢差による上下関係にストレスを感じることもあるでしょう。
とはいえ、上司を選ぶことはできません。自分より年下の上司がいる環境に転職する場合、その可能性を事前に認識し、柔軟な心構えを持つことが求められます。
悩みが解決しないもしくは新しい悩みが生まれることもある
転職を考える理由が人間関係や会社の雰囲気など、自分以外の部分にある場合、転職先でも同じような悩みを抱える可能性があります。
仕事のやりがい、人間関係、給与や昇進といった要素は、実際に働いてみないと分からない面も多いからです。
転職先で自分に合った環境を見つけるためには、事前に自己分析や市場調査をしっかり行うことが重要です。自分の価値観や優先順位を明確にし、転職先の企業文化や職場の雰囲気についてもリサーチすることで、ミスマッチを防ぐことができます。
転職に迷ったときに意識しておくこと
転職に迷ったときに、意識しておきたいことを紹介します。転職は働く環境や仕事のやりがいだけでなく、生活全般に大きな影響があります。
転職の影響を多面的な視点で検討するために、次のような点を意識するようにしてください。
仕事選びの優先順位を明確にする
転職に迷ったとき、まずは自分の優先順位を明確にすることが重要です。
給与、仕事内容、職場の雰囲気、勤務地など、自分が重視する要素を整理することで、選択肢を絞りやすくなります。優先順位が具体的であれば、譲れない条件と妥協できる点を見極めることができ、迷うことなく決断ができるでしょう。
また、希望条件を欲張りすぎると、選択肢が狭まり、理想的な転職先を見つけるのが難しくなります。自分のスキルや実績、市場での価値と照らし合わせて、現実的な条件を考えることが大切です。
家族の理解を得る
転職活動を始める前に、家族の理解を得ることが重要です。世帯主として、扶養家族のいる人は特に慎重な検討が必要です。
転職は自分だけの問題ではなく、家族全体の生活に影響を与えるため、転職の合否だけでなく、給与が下がる可能性や新しい仕事の不安定さといったリスクについても事前に話しておくことが大切です。
事前に相談しておいた方が、転職の選考が進んだ際にも話がスムーズに進みます。
実際、せっかく転職先が決まっても、家族の反対が理由で辞退する人も少なくありません。転職を考え始めた時点で、家族としっかり話し合っておくことで、後々のトラブルを避け、安心して転職活動を進めることができるでしょう。
転職のタイミングを検討する
転職活動を始めるタイミングは意外と重要です。
転職のデメリットでも書いているように、転職直後は賃貸契約やローン審査が通りにくくなることがあります。これは、転職により勤続年数がリセットされるためです。このようなデメリットを避けるためには、転職活動のタイミングを慎重に見極めることが大切です。
また、会社の福利厚生制度(住宅購入補助、育児や介護の休暇など)が、すぐには100%利用できない可能性がある点も考慮する必要があります。企業によっては、勤続年数1年以上などの条件を設けている場合があるからです。
急ぐ必要がないのであれば、求人数が多い時期を待つ、スキルアップをしてから転職活動を行う、プライベートの変化が少ない時期を選ぶなどの選択肢も検討するとよいでしょう。
簡単に現職を辞めない
やむを得ない事情がない限り、在職中の転職活動をおすすめします。退職後に転職活動を行うと、金銭的な不安が発生し、焦りやプレッシャーを感じることが多くなります。
収入が途絶えることで生活面での不安が増し、その結果、転職先を選ぶ際に妥協してしまうリスクが高くなります。
在職中の転職活動であれば、経済的な不安なく転職活動に集中できるため、自分のペースで選択肢を広げ、より良い条件の企業にアプローチすることができます。
転職以外の解決策を検討し、実行してみる
転職には、知っておくべき転職のデメリットのパートで紹介したようなリスクが伴います。
具体的には、人間関係の問題や年収の低下、年下の上司との関係などが挙げられます。これらのリスクを抱えながら転職を決断する前に、転職以外の方法を考えてみるのも一つの選択肢です。
現在勤務している企業内で解決策を模索してみます。部署異動や社内でのキャリアチェンジ、新規プロジェクトへの参加など、環境を変えることで新たな挑戦を得られるかもしれません。
また、副業が可能であれば、希望するキャリアにチャレンジする手段として副業を試してみるのも有効です。
現在の企業に勤務しながら、リスクの少ない解決に取り組んでから、転職活動をするのも一つの選択肢です。
現職のメリットと転職後に得られるメリットとを比較する
転職を考える際には、現職のメリットを捨ててまで転職するメリットが本当にあるのかを比較することが大切です。このプロセスを通じて、現職の良い点を再確認することができるかもしれません。
現職のメリットとしては、以下のような点が挙げられます:
・安定した収入:給与や福利厚生が安定しており、生活に不安がない。
・勤務場所:通勤時間が短い、または自宅から近いため、仕事と生活のバランスが取りやすい。
・職場の人間関係:すでに人間関係が構築されており、仕事がスムーズに進んでいる。
・企業の福利厚生:育児休暇や介護休暇、健康診断などの制度が整っている。
・キャリアの蓄積:現職で積み上げた経験やスキル、資格などが今後のキャリアにプラスになる可能性がある。
一方で、現職を続ける場合と転職をする場合のデメリットを比較することも重要です。
現職のデメリット:
・成長機会の限界:昇進やスキルアップの機会が少ない場合、キャリアが停滞する恐れがある。
・人間関係の問題:職場での人間関係にストレスがあり、働きづらさを感じている場合。
・業務内容のマンネリ化:同じ仕事を繰り返し、やりがいを感じられない。
転職のデメリット:
・新しい環境に慣れるストレス:新しい職場での人間関係や業務に慣れるまで時間がかかる。
・給与や福利厚生の低下:転職先で給与や福利厚生が現職より劣る場合もある。
・不安定な状況:新しい職場での成果や評価が不確実なため、不安を感じることがある。
これらのメリットとデメリットをしっかりと比較検討することで、転職が本当に自分にとって最適な選択肢かどうかが見えてきます。
第三者に話を聞いてもらう
転職を考える際、信頼できる第三者に話を聞いてもらうことは、自分の考えが整理される、新たな視点を見つけられるなどのメリットがあります。
親友や家族、パートナーなど、自分の性格、立場や環境を理解している人に話すことで、不満やモヤモヤとした感情が落ち着いてくることが多いようです。感情的な決断を避け、より理性的に状況を見つめ直したいときには、誰かに相談してみてください。
また、彼らから適切なアドバイスをもらうことで、気づかなかった視点を得られることもあります。しかし、注意すべき点は、かえって迷ってしまうこともあるということです。
人によって意見が異なるため、他者のアドバイスはあくまで参考にし、最終的な判断は自分で行うことが重要です。
転職エージェントに相談する
転職に迷っているときは、転職エージェントのサービスを利用するのもおすすめです。転職エージェントは、就職・転職活動のプロであり、客観的なアドバイスを提供してくれます。
転職市場に関する知識や企業の最新情報を持っており、あなたに最適な転職先を提案してくれることもあります。
また、面接のセッティングや履歴書・職務経歴書の作成サポートなど、転職活動における煩わしい作業を手助けしてくれますので、より効率的に活動を進めることができます。転職エージェントの多くは無料で利用できるため、気軽に相談できるのも大きなポイントです。
【年齢別】転職するか迷ったときの判断基準
転職するかどうか迷ったときの判断基準を年代別にまとめましたので、参考にしてください。
20代
20代では、今後のキャリアプランを軸に転職するかどうかを考えてみてください。
自身が目指すキャリアプランと、現職で働き続けた場合に得られる経験、スキル、キャリアを比較しながら検討するとよいでしょう。目指すキャリアと、現職で働き続けた場合のキャリアに、どの程度ギャップがあるか、検証してください。
この時期は、第二新卒やポテンシャル採用など転職のチャンスが多く、新しい環境に挑戦しやすい時期でもあります。しかし、チャンスが多いからこそ、転職先や転職そのものについて迷いや不安を抱える人も少なくありません。
3年後、5年後、10年後にどのような仕事をしていたいのかを描きながら、目指すキャリアプランを実現できるのは、どちらなのか考えてみましょう。
30代
30代は、結婚や出産などライフステージの変化が多い年代であり、それに伴い転職先に求める条件も増える傾向があります。
働きやすさや収入、安定性、やりがいなど、多くの要素を満たす転職先を探す中で、なかなか良い求人が見つからず迷うこともあるでしょう。希望条件の優先順位を明確にして、一部の条件を譲歩できるかを考えます。条件を柔軟に見直すことで選択肢が広がり、転職活動の成功確率も高まるでしょう。
また、自身のスキルや経験を棚卸しして転職市場での価値を理解することで、企業に求める条件をより現実的に設定できるでしょう。
そして、30代においても、自分の目指すキャリアと、現職に留まった場合のキャリアに、ギャップがあるかどうかも考えてみましょう。もし、キャリアの方向性が一致しているとしたら、現職で悩みを解決することも検討してみてください。
40代
40代で転職を考えるときは、自分の市場価値を正しく理解することが大切です。この年代では「自分は他の会社でも通用するのか」という不安から、転職を迷うことがよくあります。実際、20代や30代に比べて求められるスキルが高く、求人数も少ないため、転職の難易度は高いといえるでしょう。
自分の市場価値を理解するには、まず過去の経験や実績を振り返り、どのようなスキルや知識を持っているかを整理することが必要です。次に、同業界や似た職種の求人情報を調べ、企業が求めているスキルや経験と自分の強みを比較してみましょう。また、転職エージェントやキャリアカウンセラーに相談することで、第三者の視点から自分の価値を客観的に把握できます。
さらに、転職エージェントを活用すれば、自己分析のサポートを受けたり、自分に合った求人を効率良く探したりすることができます。加えて、現職の待遇や労働環境を客観的に見直し、本当に転職すべきかどうかを冷静に判断することも重要です。これらを踏まえ、納得のいく選択を目指しましょう。
【体験談】転職しなくてよかった理由
転職するかどうか迷ったけれど、現職に留まった方の体験談をまとめました。ぜひ、参考にしてください。
転職に迷うことは、仕事やキャリアについて見直す機会となって、無駄にはなりません。以下の体験談にも多くのヒントがあるはずです。
・給料が低くて転職を考えたが、給料アップした
・一から仕事を覚え直さずに済んだ
・転職活動が想像以上に大変だった
・他社が良さそうに見えていただけだった
・現職で頑張る決意ができた
上記について、一つずつ見ていきます。
給料が低くて転職を考えたが、給料アップした
給料が低いことが悩みで、転職を考えていました。しかし、転職活動を始める前に、しばらく現職に留まって仕事に集中してみようと決心しました。
最初は給料の低さに不満がありましたが、長く勤め続け、しっかり仕事に取り組んだ結果、少しずつ給料が上がっていきました。その時、初めて「転職しなくてよかった」と心から思えるようになりました。
転職を考えていた頃には、現職の良さや待遇の改善には気づかなかったのですが、続けていくうちに、会社からの信頼や評価が高まり、それが昇給や待遇の向上につながることを実感しました。転職を考える前に、現職での昇給や昇進、待遇改善の可能性を確認しておけば、もっと早く気づけたかもしれません。
もし転職を考えているなら、まずは上司に相談して、自分のキャリアの方向性や昇給の見込みを確認することをおすすめします。そうすることで、今の職場での未来をより具体的にイメージでき、転職をするかどうかを冷静に判断できるようになると思います。
一から仕事を覚え直さずに済んだ
転職を考えたことがありますが、転職後に仕事を一から覚えることに対する不安がありました。
同じ業界への転職であっても、会社ごとにやり方やルールが異なり、想像以上に覚えることが多いという現実に直面することが分かってきたのです。それに加え、新しい職場で人間関係も一から作り直す必要があるので、ストレスやリスクも感じていました。
そのため、転職を一度考え直し、現職に留まることを決意。今の職場ではすでに業務に慣れており、自分の裁量で進められる部分が多く、そこに安心感を覚えました。最終的に、「現職に残ってよかった」と心から感じるようになったのです。
転職のリスクやストレスを考える中で、現職でこれまで積み上げてきた経験やスキルを生かし続けられるメリットに気づきました。転職を迷っていた自分が、現職の良い面を再認識できました。
転職活動が想像以上に大変だった
在職中の転職活動が想像以上に大変だったという経験があります。日々の仕事をこなしながら転職活動を進めるのは本当に難しく、時間を捻出することが大きな課題でした。
無理を続けることで、体調を崩す可能性があると感じたこともあり、健康を守るためにも転職活動にかけるエネルギーを見直す必要があると思いました。
また、年齢が上がるにつれて求人が少なくなる傾向があり、その結果として転職活動が長引いてしまうこともありました。精神的にも肉体的にも疲れがたまり、なかなか前向きに進める状態ではなくなっていました。転職活動の方にストレスを感じるようになりました。
結局、転職を検討する際には、現職のメリットとデメリットを冷静に分析し、無理のない範囲で行動することが大切だと実感しました。現職で勤務することを選択して、最終的に満足のいく方向に進むことができました。
他社が良さそうに見えていただけだった
現職に不安を感じ、転職を考えたことがありました。しかし、実際に他社の環境や待遇を調べているうちに、他社が良く見えていただけだと気づく瞬間があったのです。他社の魅力的な条件に目が行きがちでしたが、転職を考える際に、現職で実現できないことが何か明確に見えていなかったことに気づきました。目的もなく転職を考えていると、実際には大きなメリットが得られない場合もあるのだと実感た瞬間です。
その後、転職活動を進めるうちに、業界や他社の仕事内容、待遇を見ていくうちに、現職でも目指せるキャリアを実現できる可能性が見えてきました。そこで、社内でキャリアアップする方向に切り替え、新たな目標を見つけることができました。結果的に、やりがいを持って仕事を進められるようになり、転職せずに現職に留まったことが自分にとってベストな選択だったと感じています。
現職で頑張る決意ができた
やりたいことがあって入社した現職でしたが、思うような仕事ができず、転職を考え始めたことがあります。最初は現職に不満を感じ、他の会社で新しいチャンスを探そうと考えていたのです。しかし、その後、自分が本当に求めていることや、現職での目標、不満点などを冷静に見つめ直すことができました。そうすることで、現職でキャリアアップを目指す方向に意識を変えるきっかけが得られたのです。
自分の目標に向かって、現職で進んでいく道を再確認することで、安心して働けるようになり、転職せずとも満足のいくキャリアを築けることに気づきました。転職を考えていた自分が、現職の良さや可能性に気づき、最終的には自分のキャリアの選択肢が広がったことを実感しました。
転職に迷ったらジョバディに相談を
今回は、 転職しない方がいいケースについて紹介しました。転職するかどうか迷ったら、第三者に相談するのも効果的です。
転職するべきか、しない方がいいのかについてもジョバディは相談に乗ってくれます。
ジョバディはキャリアアドバイザーが在籍していますので、業界情報収集やキャリア診断などのサポートをしてくれます。
サポートのタイプにも、「ひかえめ」「ほどよく」「せわやき」と自分の温度感に合ったタイプを選べる機能があります。
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