正社員を辞めたいと思ったら? 辞めたい理由と辞めるメリット・デメリット

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正社員を辞めたいと思ったら? 辞めたい理由と辞めるメリット・デメリット

正社員は、無期雇用でボーナスがあり、他の雇用形態よりも充実した福利厚生が受けられます。安定しているイメージから、「働くなら正社員がよい」と考える人は多いでしょう。昇進や昇給などキャリアアップできる制度も用意されています。

しかし一方で、責任の範囲や大きさは他の雇用形態とは比べ物にならず、「もっと楽に働きたい」と考える人もいます。

正社員を辞めたいと思った場合に備え、メリットやデメリットを知っておくことは後悔しない選択をするために非常に重要です。

仕事を辞める前に考えておきたいことや退職を決める判断基準について解説します。

【この記事の要約】
●正社員で働き始めても短期間で退職する人も多い
●精神的な負担が大きい場合は無理せず正社員を辞めることを検討する
●正社員を辞めるメリットは「時間の余裕ができる」「責任や人間関係から解放される」など
●正社員を辞めるデメリットは「収入が不安定になる」「社会的信用が低い」など

早期退職者の割合と仕事を辞める理由

厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」によれば、正社員として働き始めても、3年未満で辞める人は意外と多いことがわかります。

満15~34歳の若年者雇用のデータをもとに、早期退職者の割合と仕事を辞める理由について解説します。

※参照:厚生労働省|令和5年若年者雇用実態調査の概況

3年未満で正社員を辞める人の割合

厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査の概況」にある「これまでの就業状況」「初めて勤務した会社での勤続年数」から、早期退職した正社員の割合を確認できます。
下表の通り、3年未満で正社員を辞めた人は60.7%にも上りました。

勤続年数正社員
3年未満60.7%
3年~5年未満21%
5年~10年未満11.8%
10年以上1%

※引用:厚生労働省|平成30年若年者雇用実態調査の概況 2.これまでの就業状況 (3)初めて勤務した会社での勤続年数(p20)

次に、同じく厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」の「これまでの就業状況」「初めて勤務した会社で現在も働いているかどうか」から、平成30年との数値の変化を比較してみましょう。

 働いている働いていない
令和5年65.4%33.3%
平成30年64.4%34.5%

※引用:厚生労働省|令和5年若年者雇用実態調査の概況 2.これまでの就業状況 (2)初めて勤務した会社で現在も働いているかどうか

令和5年においても平成30年の数値とほぼ変わらない結果となっています。

以上から、正社員を3年未満で退職している人は多く、また正社員を退職する人は約4割いるということがわかります。

若年層が退職する理由

同調査によると、若年層が退職する理由でもっとも多いのは労働時間や人間関係の問題でした。次いで賃金や仕事内容のミスマッチが入っています。
なお、以下のランキングは令和5年のデータから引用していますが、平成30年においても同様の理由がランクインしています。

 退職理由割合
1位労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった28.5% 
2位人間関係がよくなかった26.4%
3位賃金の条件がよくなかった21.8%
4位仕事が自分に合わない21.7%

※引用:厚生労働省|令和5年若年者雇用実態調査の概況 2.これまでの就業状況 (3)初めて勤務した会社をやめた主な理由

正社員はすぐに退職できるの?

正社員の退職について、民法は以下と定めています。

"当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。"
※引用:民法 | e-Gov 法令検索|民法627条1項

つまり法律上、正社員は申し出から2週間で退職が可能です。

ただし、実際には引き継ぎや取引先へのあいさつ回りなどにも時間を要します。トラブルなく円満退職を目指すなら退職予定日の1~3カ月前には退職の意向を伝えておくのがおすすめです。また、社内規定により独自の定めがある場合もあるため、勤務先の就業規則も確認しておきましょう。

正社員を辞めたい気持ちが大きくなるわけ

正社員を辞めたいと思う気持ちが大きくなるのには、以下の2つ原因があると考えられます。

● 悩みを相談できない
● 正社員を辞めてはいけないと思い込んでいる

それぞれ詳しく解説します。改めて自分を振り返り、当てはまるところがないか確認してみてください。

悩みを相談できない

仕事上抱えているストレスや悩み事を誰にも相談できずに抱え込んでいる場合は、辞めたいと感じる気持ちが大きくなりやすいでしょう。
上司に気持ちをぶつけるのが難しければ、家族や友人に相談してみるのも一つです。誰かに聞いてもらうだけで気持ちが楽になる場合もあります。
ただし、「もう少し頑張ってみたら? せっかく正社員になったのだから」というような回答が返ってきそうな場合には、相談相手を変えた方がよいケースもあります。身近に相談できる人や気を許せる人がいない場合は、電話などで相談できる機関を探してみてもよいかもしれません。

正社員を辞めてはいけないと思い込んでいる

「正社員になった以上は会社を辞めてはいけない」という心理が働く人もいます。そして辞めてはいけないと思えば思うほど、自由になりたいという欲求も生まれやすくなります。
無理やり仕事を続けてもパフォーマンスが低下する可能性もあるため、「どうしても嫌なら辞めてもいいんだ」と意識してみることも時には大切です。
もし辞めることが極度に不安な場合は、転職活動など辞めるための準備を進めると心に余裕が生まれるかもしれません。

正社員を辞めるメリット

正社員は「安定している」というプラスのイメージが大きいため、たとえ辞めたくてもためらう人も多いのではないでしょうか。
しかし、実は正社員を辞めることには以下のようなメリットもあります。

● 時間の余裕ができる
● 責任が軽くなる
● 仕事の選択肢が増える
● 人間関係の悩みが減る
● 視野が広がる

それぞれについて詳しく解説していきます。

時間の余裕ができる

正社員を辞めて時短勤務やフリーターなどに働き方を変更することにより、時間に融通の利くようになります。残業や休日出勤などに拘束される時間が少なくなるため、プライベートの時間を確保しやすくなるでしょう。趣味を中心にした生活や正社員として働いていたときにはかなわなかった資格の勉強をすることも可能です。時間に余裕のある働き方ができるようになれば、自分が理想とするライフスタイルを実現しやすくなります。

責任が軽くなる

契約社員や派遣社員、フリーターなどの雇用形態は業務範囲が限定的で責任が軽い傾向にあります。一方、正社員は長期的に会社の中核を担う人材として雇用されているため、どうしても業務範囲が広くなりやすく、また責任も大きくなりがちです。もちろん、その分給与が高かったり、重要な役職を与えられたりするなどのやりがいもありますが、負担にもなりやすいのは事実でしょう。正社員を辞めることでこのような責任からも解放されます。

仕事の選択肢が増える

長期雇用が前提の正社員と異なり、フリーターや契約社員は働く先や業種を変えやすいというメリットがあります。そもそも契約社員や派遣社員は有期雇用が基本なため、定期的に仕事先が変わります。またフリーターは未経験でもOKな求人がほとんどで、採用のハードルが高くなく、興味のある業種にどんどん挑戦ができるでしょう。いろいろな業種を選択できるため、自分の本当にやりたかったことや自分に向いていることを見つけやすくなります。

人間関係の悩みが減る

人間関係の悩みは多かれ少なかれどの職場にもありますが、正社員はフリーターや有期社員のように簡単に職場を変えることができません。そのため社内の人間関係に悩まされることが多くなる傾向があります。前述の「若年層が退職する理由」でも紹介した通り、実際に人間関係が理由で仕事を辞める人は非常に多いのが実情です。
正社員を辞めることで煩わしい人間関係のストレスから解放されます。心にも余裕が持てるようになるでしょう。

視野が広がる

同じ職場で働き続けるよりも別の仕事や働き方をすることで、視野が広がる場合もあるでしょう。一つの会社でしか働いたことがなければ、その会社のやり方がすべてになります。今の会社で定年まで働き続けられればよいのですが、かつてのように終身雇用が保証されなくなった今、この先リストラや倒産などが絶対に起こらないとも限りません。また、さまざまな会社の業務や価値観を知ることは、人生経験を積む上でも大きなメリットになります。

正社員を辞めるデメリット

このように正社員を辞めることにはメリットもある一方で、当然ながらデメリットも存在します。
正社員を辞める主なデメリットは以下の通りです。

● 収入が安定しない
● 福利厚生が限られる
● ボーナスがもらえない
● 社会的信用が低下する
● 正社員としての再就職が難しい場合も

それぞれについて解説していきます。

収入が安定しない

正社員を辞めることで、収入が不安定になる可能性があります。一般的に正社員は固定給ですが、フリーターや契約社員、派遣社員は労働時間に応じて収入が決まる時給制がほとんどです。祝日が多い月など勤務時間が少なくなれば収入も減少します。また、正社員にはあったボーナスもなくなるケースが多いでしょう。

転職や新しい働き方をした場合に、自由度は増すかもしれませんが、収入は正社員の頃よりも減る可能性が高いことは覚悟しておく必要があります。

福利厚生が限られる

転職先や働き方にもよりますが、非正規雇用は福利厚生の適用範囲外になるケースも多くあります。また、仮に福利厚生が受けられる場合でも、正社員のときに適用されていた手当や休暇制度は残念ながら対象外になる場合がほとんどです。
特に結婚や出産などのライフイベントには多くの企業が充実した福利厚生を用意していますが、非正規雇用には恩恵が少ないのが難点です。仕事を辞めざるを得なくなるなど、環境の変化に対応しづらい一面があります。

ボーナスがもらえない

非正規雇用にはボーナスが出ないケースが大半です。

具体的にボーナスの有無がどのくらい年収に影響するかを考えてみます。
例えば月給24万円の場合、会社にもよりますが賞与が年2回で約50万円~60万円のボーナスがもらえるでしょう。このケースでボーナスがなければ年収が50万円~60万円が減少します。生涯年収にも差が出やすくなるでしょう。
また仮にボーナスがもらえたとしても、非正規雇用は正社員ほど多くは支給されません。

社会的信用が低下する

正社員に比べて、フリーターや派遣社員などは安定した収入が見込めないと判断されやすく、社会的信用が低くなります。住宅や車のローン、クレジットカードの審査や賃貸の入居審査などが厳しくなることもあるため注意が必要です。もし直近で何らかの審査を受ける予定がある場合は、正社員のうちに受けておくことを強くおすすめします。
正社員の社会的信用は非常に高く、特に結婚などを控えている方は慎重に判断した方がよいでしょう。

正社員としての再就職が難しい場合も

一度正社員を辞めて別の雇用形態で働いてしまうと、再び正社員に戻るのは難しいのが実情です。これはフリーターや派遣社員などで働いている期間の実績や経験、スキルが客観的に証明しづらいことが関係しています。採用側としても即戦力になる人材かどうかが判断できないため、残念ながら不合格になるケースが多いといわれています。
また、退職後ブランクがある場合も再就職で不利になったり、給与や待遇が下がったりする可能性があるでしょう。

正社員を辞めてもいい判断基準

正社員を辞めることはリスクを伴うため、さまざまな要素を検討した上で慎重に判断することが大切です。
一般的に以下のような基準に当てはまる場合は、正社員を辞めても後悔しないといえるでしょう。

● ストレスで心身に不調が出ている
● 生活に困らない貯金や不労所得がある
● 退職後の明確なビジョンがある

それぞれ詳しく解説していきます。

ストレスで心身に不調が出ている

仕事や会社のストレスで心身の不調が出ている場合は、正社員を辞めることを検討すべきです。ストレスをためこむと、いずれ現職だけでなく働くこと自体が困難になってしまうかもしれません。自分自身がどの程度ストレスをためているかは案外気付きにくいため、Webストレス診断などを試してみるのもおすすめです。
一方で、心が弱っている場合には正しい判断ができない場合もあります。勢いで退職して後悔しないように注意が必要です。

生活に困らない貯金や不労所得がある

デメリットでも触れましたが、正社員を辞めると収入が低下する可能性が高くなります。収入が減ることで生活が困窮した場合、せっかくできた自由な時間を謳歌(おうか)できず、結局また転職活動せざるを得なくなるでしょう。余裕がない状態では転職は成功しません。前職よりも条件の悪い仕事に就いてしまうリスクが高まります。
正社員を辞めるなら、辞めても十分生活できるくらいの貯金や不労所得がある状況を確保してから決断することをおすすめします。

退職後の明確なビジョンがある

「フリーランスで働く準備ができている」「家族の扶養に入って家事育児に専念する」「海外留学する」など、退職後のビジョンが明確な場合は辞めても問題ないでしょう。
ただし、今後のビジョンがある場合でも、実際やってみると理想と現実とのギャップに後悔するケースもあります。必ずしも思い描いていた通りには進まないため、自分の理想とする生き方をすでに実行している知人に話を聞いてみるなどズレがないように調べておくことも大切です。

退職を考え直した方がいいケース

一方、正社員を辞めるのを考え直した方がいいケースも存在します。
具体的には以下のようなケースです。いずれか一つでも当てはまる場合は、辞めてしまうと後悔する可能性があるでしょう。

● なんとなく辞めたいと思っている場合
● 社内で異動希望が出せる場合
● 休職できる場合

それぞれ詳しく解説していきます。

なんとなく辞めたいと思っている場合

「仕事に飽きた」「環境を変えたい」など、明確な理由なく漠然と辞めたいと思っているなら、退職は考え直した方がいいかもしれません。気持ちが定まらない状態で退職しても、結局また同じ理由で転職を繰り返す可能性が高いでしょう。また、短期離職は基本的にあまり良い印象をもたれないため、転職にも不利になります。辞めたい理由がはっきりしていない場合には、もう一度なぜ辞めたいのか突き詰めて考えてみる必要があります。

社内で異動希望が出せる場合

現在の部署の人間関係や仕事内容が辞めたい理由になっている場合は、他の部署に異動することで解決する場合もあります。まずは社内に異動希望制度があるか調べてみましょう。そして次に自分がその制度の対象に入っているかを確認します。制度利用が可能なら異動したい旨を上司に相談してください。
もちろん、異動希望を出しても希望する部署に空きがないなどですぐに異動できるとは限りませんが、急がないなら待ってみるのも一つの方法です。

休職できる場合

休職できる場合は、辞める選択をする前に一度休職してみるのもありでしょう。休職すればじっくり自分を見つめ直す時間ができます。一度職場から離れてみて、冷静になってから本当に辞めるかどうかを検討しても遅くはありません。前述の通り、一度正社員を辞めると再就職は困難になるケースがあります。しかし休職なら正社員のまま転職することも可能です。深く考える時間がないまま慌ただしく辞めてしまうよりも後悔がないでしょう。

仕事を辞める前に考えておきたいこと

いったん仕事を辞めたら後戻りはできません。辞めてから初めて真剣に今後のことを考えてもすでに遅いケースもあるでしょう。また、辞めると決めた後はスムーズに退職したいものです。

仕事を辞める前にあらかじめ考えておいた方がよいことについて紹介します。

● 仕事を辞めた後どうするか
● 退職の流れを把握する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

仕事を辞めた後どうするか

仕事を辞めると決めたら、辞めた後のこともある程度考えておく必要があります。何も決めないまま退職してしまうと、路頭に迷ってしまうなど後悔する可能性が考えられるためです。例えば在職中に転職活動して転職先が決まっていれば、仕事を辞めることの心理的ストレスは少なく済みます。

正社員を辞めた後は、雇用形態を変えて働いてみるのも一つの手です。

契約社員、派遣社員、フリーランス・個人事業主、パート・アルバイトとそれぞれの雇用形態について特徴を紹介します。

契約社員

契約社員は雇用期間に定めがある「有期」の労働契約を結んでいる社員です。勤務形態は正社員と同じくフルタイムが基本になりますが、雇用契約に業務内容や勤務地が定められるのが特徴です。そのため、正社員のように望まない業務を振られる可能性や転勤を強いられる心配はありません。
一方で、契約満了時には更新されないこともあり、万が一更新されなかった場合には新たに仕事を探さなければならないデメリットもあります。

派遣社員

派遣社員とは、人材派遣会社と雇用契約を結び、企業へ派遣されている社員を指します。
給与の支払いや福利厚生は派遣会社の制度が適用されるため、同じ職場で同じ仕事をしていても給与が異なるといった状況が起こります。
派遣社員は派遣会社から仕事を紹介される際に業務内容を確認できるため、自分に合った仕事を選べるのがメリットです。ただし雇用や収入が不安定になりやすく、責任ある仕事には就きにくいというデメリットもあります。

フリーランス・個人事業主

フリーランスや個人事業主は、企業を介さずに個人で仕事を請け負う働き方です。ライターやカメラマンなど多種多様な職種が存在し、既存にはない新たなビジネスを生み出して仕事をすることも可能です。すべて自分の責任において仕事を行うため、個人のライフスタイルに合った自由な働き方ができる一方で、労働時間や最低賃金などの労働者を守る法律の適用はありません。年金や健康保険の手続き、確定申告などもすべて自分で行う必要があります。

パート・アルバイト

パートやアルバイトの多くはシフト勤務です。ライフスタイルに応じてシフトを入れられるため、自分の都合に合わせた働き方ができます。
一方、給与は時給制のため働いた時間分しか得られません。収入は労働時間に依存するため、よほど時給が高くなければ一つの仕事で高収入を得るのは難しいかもしれません。ただし正社員のように副業禁止などの規定はなく、複数のパートやアルバイトをかけもちすることで多く稼ぐ方法はあります。

退職の流れを把握する

退職手続きをスムーズに進めるためには、あらかじめ流れや具体的手順を把握し、大まかな所要日数を確認しておく必要があります。
特に後任者への引き継ぎは前もって資料をまとめておくなどの準備があるため、計画的な行動が大切です。

退職の一般的な流れは以下の通りです。

● 直属の上司に退職の意向を伝える
● 退職届を提出する
● 引き継ぎや退職のあいさつを済ませる
● 有給消化後に貸与物を返却する
● 退職後に公的手続きを行う

一つずつ順番に解説します。

直属の上司に退職の意向を伝える

退職を決めたら、退職日の1~3カ月前を目安に直属の上司に退職の意向を伝えましょう。言い出しにくいからといっていきなり人事やより上位の役職者に申し出るのはマナー違反です。
なお、上司に伝える退職理由は「一身上の都合」として構いません。もしそれ以上の詳細を聞かれた場合も前向きな理由に留め、現職の不満などマイナスな理由は言わないように注意してください。「改善するから」などと引き留めに遭いやすくなります。

退職届を提出する

「退職届」は退職することが決まってから、退職する届けを会社に伝えるもので、「退職願」とは別物です。
退職の申し出は口頭でもよいとされていますが、後々トラブルになる可能性もあるため一般的には書面として提出することがほとんどです。
退職届はインターネット上にも多くのテンプレートが用意されています。書き方がわからない場合は参考にするとよいでしょう。また、会社によっては様式が決まっている場合もあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

引き継ぎや退職のあいさつを済ませる

退職日が決まったら、仕事の引き継ぎや取引先へのあいさつ回りをします。
引き継ぎは後任者が悩まないようにわかりやすくファイリングするなど、前もってまとめておくのがポイントです。スムーズに引き継ぎができれば円満に退職できます。
取引先や顧客へのあいさつは退職日の2~3週間前までには済ませたいところです。ただし、伝えるタイミングには注意が必要です。あいさつする時期は、上司と相談してビジネスに影響が出ないタイミングで決めてください。

有給消化後に貸与物を返却する

有給消化後は会社からの貸与物を返却します。なお、返却のタイミングは会社によって異なります。詳しくは勤務先に確認してください。

貸与物の例:健康保険証、社員証・社章・カードキーなど、スマホやノートPCなどデバイス、名刺、定期、社費で購入した物品、所有禁止の書類やデータなど。

そして、雇用保険被保険者証、年金手帳、源泉徴収票、離職票、退職証明書を受け取ります。退職後の手続きに必要なため、忘れないように受け取りましょう。

退職後に公的手続きを行う

住民税や年金、健康保険料が毎月給与から天引きされていた人は、退職に伴って個別に払う手続きをします。
また、年金と健康保険料については、それぞれ国民年金と国民健康保険への切り替え手続きが必要です。次の仕事が決まっていない場合は、失業保険の手続きもあります。
それぞれに申請の期限があるため注意しましょう。

(参考)退職に伴う公的手続き

種類手続き内容
住民税転職先が決まっている場合は転職先の給与天引きに切り替え。離職日が1月~5月の間で1カ月以上離職期間がある場合は、納付書で個別に支払う。
失業保険居住地管轄のハローワークで申請。退職理由により受給開始時期が異なる。早めの手続きがおすすめ。
年金転職先が決まっておらず社会保険の加入が継続できない場合は、居住地の市区町村窓口で退職日の翌日から14日以内に国民年金へ切り替え。
健康保険「国民健康保険への切り替え」「前勤務先健康保険の任意継続」「家族の扶養に入る」の3パターンから選択。国民健康保険への切り替えは、退職日の翌日から14日以内に居住地の市区町村窓口で手続きする。

正社員がスムーズに退職するポイント

正社員は将来的に会社の中核を担う存在になることが期待される雇用形態であり、退職するのはフリーターや契約社員、派遣社員ほど簡単ではないかもしれません。しかし、次の2つのポイントを意識しておくと、スムーズかつ円満に退職できる可能性が高まるでしょう。

● 繁忙期は避ける
● 余裕を持って計画を立てる

それぞれ詳しく解説します。

繁忙期は避ける

繁忙期に退職されると人手が足りなくなることを懸念され、引き留められる可能性が高くなります。繁忙期はスケジュールが過密になりやすく、退職の意向を上司に伝える時間も、また、後任者へ引き継ぎする時間も確保しにくくなります。そもそも時間を取りづらい上に、せっかく伝えても「後日改めて聞く」などと言われる可能性もあるでしょう。職場への配慮という観点からも、忙しくて猫の手も借りたい状況のときに退職を切り出すのはあまりよいとはいえません。退職の意向を伝えるのは、業務的に余裕のある時期に切り出すのがベストです。

余裕を持って計画を立てる

退職までの段取りはあらかじめ余裕を持って計画することが非常に大切です。それには退職日までにやるべきことをリストアップしておくと計画を立てやすくなります。
民法上は2週間で退職できるとされているものの、前述の通り正社員の退職には引き継ぎや諸手続きで少なくとも1カ月はかかります。就業規則でも1カ月前を退職の申し出の期限と定めている会社が多く、退職日から逆算して1カ月前からは本格的に退職手続きを進めていかなければなりません。余裕を持って退職準備を行うならば、3カ月程度は見ておいた方が安心でしょう。

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正社員を辞めたいと考えている場合は、辞めるメリットとデメリットを正しく理解して後悔のない選択をすることが重要です。

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