
「残業時間が多い」は転職理由でどう説明する? 退職理由や例文も紹介
会社の長時間労働や残業の多さに悩んでいるものの、残業の多さを転職理由として伝えるにはどのような言葉にすればよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。
もしも残業の多さから転職を考えている場合でも、ストレートに「残業が多いから辞めたい」と伝えてしまうと、仕事への意欲が低いと受け取られてしまうリスクがあります。
転職理由として伝える場合は、ネガティブな印象を与えてしまわないよう前向きな理由に言い換えるなど工夫をするとよいでしょう。
本記事では、残業の多いことを転職理由で上手に説明するためのポイントを解説します。
この記事でわかること
●残業が多い状況を転職理由にするには「月に60時間以上の残業が続いている」など具体的な数字を挙げ、前向きに働きたい意思を加える必要がある。
●残業が多い理由には「業務効率が悪く無駄な作業が多い」「人手不足で一人に負担が集中している」などの背景があり、転職先でも注意すべきポイントとなる。
●「残業が多い」をそのまま伝えると「責任感がない」「他責な態度」と誤解される恐れがあり、ポジティブな言い換えが重要になる。
●残業を理由に転職してもよいケースは、法令違反の残業が行われている、心身の健康に悪影響がある/予想される、無駄な残業を強制されている。
すでに転職を考えて行動をしているという方も、転職しようか迷っているという方も、本記事の内容を参考にして転職理由の整理に役立ててみてくださいね。
転職理由では本音と建て前を使い分けることも大事
転職理由を採用担当者に伝える際は、本音と建て前を適切に使い分けることが重要です。
「残業が多いから辞めたい」などの本音は正直である半面、ネガティブな印象を与えてしまわないよう工夫して前向きな内容に言い換えることが求められます。
例えば「残業が多くスキルを磨くための時間が十分に確保できない」という悩みであれば「業務効率を高める環境でスキルアップを目指したい」といった表現に変えるとよいでしょう。
「スキルアップ」や「業務効率化への意欲」など前向きな姿勢を示すことで、自分の成長意欲や仕事への取り組みをアピールすることができます。
残業が多いとは何時間から?
残業が多いと感じる基準は人それぞれですが、一般的には月45時間を超えると「多い」と見なされることが多いようです。
この基準は厚生労働省が示す過労死ラインで目安とされており、月45時間以上の残業が継続すると心身に悪影響を及ぼすリスクが高まるとされています。
この月45時間という数字は、1日当たりに換算すると2時間程度の残業になります。
これを毎日の生活に当てはめると、プライベートや自己学習の時間が削られ、ストレスが蓄積されるとやがて仕事のパフォーマンスも低下していくことが想像できます。
残業時間の基準と自分の状況を把握し、もしも残業が多いという場合は労働環境改善のための行動を検討したほうがよいでしょう。
状況の改善が見込めなければ転職も視野に新たな環境を探すことも選択肢の一つです。
残業時間が多い職場の特徴

残業時間の多さは企業によって異なりますが、残業時間の多い職場や環境には共通するポイントがあります。
ここからは、残業時間が多い職場で見られる特徴を3つ解説していきますので、今の環境の分析や転職先選びの基準として参考にしてみてください。
残業時間が多い職場の特徴3つ
・人手が不足している
・仕事の効率化ができていない
・残業するのが当たり前の社風である
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
人手が不足している
人手不足は残業が多い職場で見られる大きな要因の一つです。
業務量に対して従業員数が明らかに足りていない場合、1人当たりの仕事の負担が増加し、それがそのまま残業時間の増加につながります。
特に慢性的な人員不足が長期間解消されてない職場では、残業が常態化しやすい状況が生まれやすくなります。
また、人員配置の見直しが適切に行われず負担が偏る状況になることも、問題が長期化しやすくなる要因です。
仕事の効率化ができていない
効率化が進んでいない職場では、非効率な業務フローや属人的な作業が原因で作業時間が長引くケースが多々起きています。
業務手順が整理されていない、不要な会議が頻繁にある、形式的な報告作業が多いといった状態では必要以上に作業に時間がかかり、結果全体の生産性低下につながります。
また、従来のやり方に固執している場合やITツールの導入が進んでいない職場では手作業での処理が多く、効率の悪さが残業時間の増加の原因となるでしょう。
残業するのが当たり前の社風である
残業が常態化している職場では、定時退社が当たり前ではないことが多く見られます。
こうした社風では「残業すること」自体が評価され、労働時間の長さ自体が仕事への意欲や成果と誤解されているケースが多くあります。
そのため、社員が効率的に仕事をこなして早く帰ろうとすることを「やる気がない」と評価されることも起きてしまうのです。
会社全体で残業が常態化しているため、残業ありきの業務配分など業務効率化への改善意識が低い職場であることが多いです。
残業時間が多い人の特徴

慢性的な残業は会社全体の体質が原因の場合も理由の一つですが、個人の働き方や傾向にも原因がある場合があります。
ここからは、残業時間が多い人の原因について4つの共通点を解説していきますので、自分の働き方を振り返るためのヒントにしてみてください。
残業時間が多い人の特徴4つ
・ついつい仕事を抱えてしまう人
・慎重派でどんどん仕事を進められない人
・優先順位が付けられない人
・自分のやり方を変えない人
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
ついつい仕事を抱えてしまう人
仕事を抱え込みやすい人は自分ですべて対応しようとする意識が強く、他人に頼るのが苦手な傾向があります。
「自分がやったほうが早い」「他人に迷惑をかけたくない」という思いから、すべての業務を一人で背負い込む結果、仕事量が増えすぎる状況を自ら作り出してしまうのです。
また、頼まれた仕事を断れない性格の人も業務過多に陥りがちです。
上司や同僚からの依頼を「断ったら評価が下がるかもしれない」「嫌な印象を与えたくない」と考え、すべて引き受けてしまい結果的に業務が回りきらなくなっていきます。
慎重派でどんどん仕事を進められない人
慎重派の人は仕事の完璧さを重視するあまり、作業のスピードが遅くなる傾向があります。
「ミスをしたくない」「完璧に仕上げたい」という意識が強く、小さなミスを恐れるあまり必要以上に確認作業や検討に時間を費やしてしまいがちです。
仕事のスピードよりも正確さを重視してしまい、一つの仕事に時間を割きすぎるため、結果的に納期が近づいてから焦ることになることも多くなるでしょう。
優先順位が付けられない人
仕事に優先順位を付けられない人は、すべてのタスクを同じレベルで重要と考えてしまいます。
締め切りが差し迫った業務や重要度の高いタスクを見極めるのが苦手で、結果的に低い優先度の仕事に時間を費やし、重要なタスクが後回しになる傾向があるのです。
優先順位が曖昧な状態では、何から進めたらよいか、どのくらいのスピード感で終わらせられたらよいのかが漠然としているため、日々の業務の中で迷いが生じやすく、作業効率はさらに悪化しがちです。
自分のやり方を変えない人
自分なりのやり方やこれまで通りの進め方に固執してしまい、効率化や改善の意識が低い人も、残業時間が増えてしまう傾向があります。
こうした人は効率的な方法や新しいツールの導入を面倒と感じる場合や、他人からのアドバイスや改善提案を受け入れない傾向があり、非効率な作業を続けてしまいます。
業務の改善や最適化を怠ることで作業時間が長引き、やがて周囲との作業スピードはさらに開いて、残業が増える原因になっていくでしょう。
残業時間を短くするための工夫

ここからは、残業が常態化している場合に、まずは自分でできる工夫をするために試したいポイント4つを解説していきます。
残業時間を短くするための工夫
・残業につながる原因を探って整理する
・他の部署と比較してみる
・業務効率化の方法を探る
・上司や先輩に相談して目標を決める
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
残業につながる原因を探って整理する
残業を減らす第一歩は、残業につながる原因を具体的に探り整理することです。
残業が発生する背景には、多すぎる業務量や非効率な方法、人手不足、優先順位の曖昧さなどさまざまな要因があります。
まずはタスクの優先順位や進行状況を「この作業は本当に必要なのか」「誰かに任せられる仕事はないか」といった観点で見直し、無駄な作業や簡略化できそうな作業があればここから排除していきましょう。
他の部署と比較してみる
他部署の業務量や効率的な作業方法を参考にするのも有効な手段です。
他部署がどのように業務を進めているのかを観察し、より良い手法や工夫を取り入れることで自部署の改善点を見つけることができます。
また、一部の部署に業務が集中している場合は、他部署と連携しながら業務の再分配を検討することで、全体的な負担が軽減され残業を減らせる可能性があります。
他部署との比較は自部署の改善点を見つけるきっかけになるだけでなく、部署間の連携もスムーズになり、結果として残業を減らし働きやすい環境を作ることにもなるのです。
業務効率化の方法を探る
残業を減らすためには、業務フロー全体を見直し、一つひとつの業務から簡略化できる部分や無駄な作業がないかを確認しましょう。
例えば手作業の業務をテンプレート化してみることや、自動化ツールやITソリューションの導入を検討すると、さらに業務を効率化することができます。
さらに、チーム内の効率的な役割分担を改めて見直すことも重要です。
メンバーの得意分野を生かす工夫や、優先順位の高いタスクから割り振ることで、効率的に作業を進めることができます。
上司や先輩に相談して目標を決める
残業を減らすためには、上司や先輩と現在の業務状況を共有し、具体的なアドバイスをもらいながら現実的かつ達成可能な目標を一緒に設定することが大切です。
「来月までにこの作業を自動化する」など、具体的な目標を設定すると、その後の達成度合いを測りやすくなります。
どの業務を先に進めるべきかの指針をもらいながら、効率化の進捗を定期的に確認してアプローチの見直しをしてもらうと、着実に業務効率を改善することができるでしょう。
残業を理由に転職してもよいケース

残業の常態化が会社全体で放置され改善に期待ができない場合や、自分だけの取り組みでは限界がある場合は、転職で状況を変えるのを検討するのも有効です。
ここからは、残業時間の多さを理由に転職してもよいと考えられる3つのケースを解説していきます。
残業を理由に転職してもよいケース
・法令違反の残業が行われている
・心身の健康に悪影響がある/予想される
・無駄な残業を強制されている
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
法令違反の残業が行われている
違法な長時間労働が常態化している職場では、早めに転職を検討するのがよいでしょう。
労働基準法では原則として労働時間が1日8時間、週40時間を超える場合は残業手当の支払いが義務付けられているほか、時間外労働を行う場合には36協定(サブロク協定)の締結が必要ですが、これが守られていない職場も多く存在しているのが現状です。
深刻な場合だと残業代が支払われない「サービス残業」が行われていることもあります。
タイムカードを打刻した後に残業を続けたり、自宅に持ち帰って作業をしたりなども含まれおてり、こうした状況は法令違反となります。
このような職場環境では個人の働きかけで改善を求めるのは難しく、社内で訴えることで不当な扱いを受けてしまうリスクもありますので、最終的には転職を検討するのもやむを得ない選択肢となります。
心身の健康に悪影響がある/予想される
残業が多い職場環境で長期間働き続けると、心身に深刻な問題が及ぶ可能性があります。
体の不調としては、不眠や慢性的な疲労感、体調不良のほか、頭痛や胃痛、肩こりなどもストレスからくる症状として現れることがあります。
さらに、メンタル面では無気力感や集中力の低下、昔は楽しめていたことが楽しくなくなるといった変化が生じることがあります。
このような状態を放置しておくと、ストレス性の病気やうつ病に発展するリスクが高まり、自覚症状がなくても気づかないうちに心身が限界に近づいているケースも少なくありません。
おおごとになってしまう前に行動を起こすことで、自分の健康とその後のキャリアを守ることが大切です。
無駄な残業を強制されている
職場によっては「残業=やる気や熱意の表れ」といった古い価値観が根付いている場合があります。
このような環境では、仕事が終わっても雰囲気的に残業しなければならない空気があったり、上司が残業していて自分が帰りづらかったりするケースでは、無駄な残業が常態化してしまいがちです。
また、家庭やプライベートの事情で扶養範囲内の働き方を希望しているにもかかわらず、不要な残業を強制されているケースもあります。
上司に意見することができず、相談しても状況が改善しない場合や、反対に叱責(しっせき)されるような職場環境であれば、退職を検討するのも仕方がないといえるでしょう。
残業が理由で転職していいか判断する基準

違法な長時間労働や無駄な残業が常態化していて、健康に影響が出る場合や業務環境の改善が見込めない場合は、早めの行動を起こすことが必要です。
転職してもよいか悩む場合は、残業が多くても自分にとって納得できるメリットがあるかどうかを考えることも重要です。
例えば、スキルアップや昇進の機会が得られる、業界や職種の特性上やむを得ない状況であるなど、結果的に成長やキャリアに直結する場合はそのまま続ける選択も一つの方法です。
一方で、残業が多いだけで自分にメリットがないと感じるなら辞める選択肢も視野に入れるべきといえるでしょう。
転職する場合の注意すべきポイント
残業時間の長さや環境変化のために転職する場合、転職活動において注意しておきたいポイントがいくつかあります。
これから活動を始める方はもちろん、すでに活動を始めているという方も、今からでもポイントを押さえておくようにしましょう。
転職する場合の注意すべきポイント
・不満だけで退職・転職理由を考えない
・転職で実現したいことを考える
・応募する企業を慎重に見極める
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
不満だけで退職・転職理由を考えない
転職理由を「残業が多い」などの不満だけで伝えると、採用担当者にネガティブな印象を与える可能性があります。
不満を解消したい気持ちは自然なことですが、それだけを理由にしてしまうと「職場環境に順応できない人」や「他責的な態度の人」と誤解されることもあります。
転職理由を伝える際には、「これまでの経験を生かしつつ効率的な業務環境でスキルを高めたい」や「キャリアアップを図り新しい分野にも挑戦したい」など、将来の目標を明確に伝えると好印象を与えられます。
不満を解消するだけでなく、転職をより良い方向に進めるための機会と捉え、「この人なら会社に良い影響を与えてくれる」と思わせるような理由を準備しておくことが大切です。
転職で実現したいことを考える
転職活動を成功させるためには、まずは自分が転職によって得たいスキルや経験、今後のキャリアの方向性を考え、転職によって何を実現したいのかを明確にすることが重要です。
「マネジメントスキルを磨きたい」「専門分野をさらに深めたい」といった具体的な目標を設定し、転職活動を通じて自分の価値をアピールしましょう。
新しい職場での目標を明確にすることで企業選びや求人への応募がスムーズに進むだけでなく、面接の場でも具体的で説得力のある志望動機を伝えられるようになります。
応募する企業を慎重に見極める
転職活動では応募先の企業を慎重に見極めることが、後悔のない転職活動につながります。
特に残業時間や労働環境、職場の雰囲気、福利厚生といった点は働きやすさに直結するため、事前にしっかりと調査することが重要です。
企業の求人票には業務内容、労働時間や休日、福利厚生の概要が記載されていますが、これだけをうのみにせず、企業の口コミや評判、社員の体験談など多角的な情報を収集して判断するのがおすすめです。
転職理由で「残業時間が多い」と直接伝えてはいけない

転職理由として「残業時間が多い」とそのまま伝えると「またすぐに辞めるのではないか」や「責任感がないのではないか」といった印象を与えてしまいやすいため、転職理由の伝え方には注意が必要です。
「効率的に働ける環境でスキルを生かしたい」や「生産性を高めるために効率化が進んでいる環境で働きたい」などといったポジティブな表現に置き換えるなど工夫をしましょう
また転職理由を伝える際には、応募企業のニーズに合わせて調整することも重要です。
その企業が求める人物像や価値観を事前に把握した上で、前向きな意図を伝える努力をすることで、転職理由を魅力的なものにすることが可能です。
仕事を甘く見ていると捉えられる
「残業が多い」という理由だけを転職理由として挙げると、採用担当者に「仕事への責任感が薄いのではないか」と判断されてしまう可能性があります。
また「困難な状況に耐えられない人」という印象を持たれ、難しい環境でも前向きに努力する姿勢に欠けると判断される場合もあるため、伝え方には工夫が必要です。
「残業が多い」という事実は「効率的に働ける環境で、これまでのスキルをさらに磨きたい」といった言い換えをすることで、成長意欲を示すことができます。
転職を単なる不満からの行動ではなく、キャリアをより良くするための前向きな挑戦として受け取ってもらえるような伝え方を意識しましょう。
他責な人物であると思われる
漠然と「残業が多い」という理由を転職理由として挙げると「職場環境や周囲のせいにしている」と捉えられてしまい、他責の姿勢が強調される可能性があります。
残業が多いことを理由にしながら、自分で改善しようとした努力が見られない場合「問題解決能力が不足している」「責任転嫁している」という印象を与える場合もあるかもしれません。
前向きな理由を伝えることで、問題に真摯(しんし)に向き合い成長意欲を持つ人物としてアピールすることができ、良い印象を与えられます。
誠実さがない人間だと思われる
転職理由として前職への不満を一方的に述べると「職場環境への敬意が欠けている」と捉えられる可能性があります。
「残業が多い」や「職場環境が悪い」といった不満を強調する姿勢は、本人の問題意識や努力が見えず、誠実さに欠ける人間であると判断されるリスクがあるため注意しましょう。
また、前職での経験を具体的に語りつつ「多くの経験を積ませてもらったが、さらなる成長の場を求めている」というように感謝の気持ちも示すことで、誠実で謙虚な印象を与えられます。
採用担当者が退職理由を聞く理由

採用担当者が転職理由を質問するのは、転職理由をどう答えるかによって仕事への姿勢や今後の働き方を判断する大きな材料にすることができるためです。
実際の理由がネガティブであるほど、できれば軽く流したい話かもしれませんが、転職理由をポジティブな印象を与えられるものにすることができれば、面接の突破率を大きく上げられます。
採用担当者が転職活動を聞くことでどんなことを知ろうとしているのかを把握し、相手に好印象を与えるためのポイントを押さえた回答を作成することが重要です。
採用担当者が退職理由を聞く理由5つ
・仕事に対する考え方や姿勢を知るため
・責任感があるかを判断するため
・同じ理由で転職しないかを判断するため
・難しい質問に誠実に回答できるかを見ているため
・会社への理解度やマッチするかどうかを判断するため
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
仕事に対する考え方や姿勢を知るため
採用担当者が退職理由を聞くのは、求職者の仕事に対する価値観や取り組み方を理解するためです。
どのような理由で現職を離れようとしているのか知ることで、求職者が何を重視し、どのような働き方を理想としているかを理解する材料になります。
また退職理由には、求職者が困難な状況にどう向き合い、どのように乗り越えたのかといった問題解決能力が垣間見えることもあります。
そうした状況でどんな対応をしてきたかを知ることで、求職者が自社の職場環境や仕事内容にどれだけ適応できそうかを判断できるのです。
責任感があるかを判断するため
採用担当者は退職理由の回答から、求職者に責任感があるかどうかを見極めようともしています。
退職理由が単なる職場や他人への不満だけに終始していると、責任を持って仕事に取り組む姿勢に欠けると判断される可能性がありますので注意しましょう。
また、求職者が前職でどのように責務を果たし、仕事に取り組んできたかどうかも責任感を測る重要な材料になります。
採用担当者は、困難な状況に対して自分自身が努力した跡があるかどうかを確認し、誠実な姿勢を判断しようとしているのです。
同じ理由で転職しないかを判断するため
転職理由を聞く理由には、求職者が過去の退職理由を反省し、次の職場で同じ問題を繰り返さないかを確認する意図があります。
特に、退職理由が一時的な感情の高まりや表面的な理由であると感じられると、同じような状況で再び転職を考えるのではないかと懸念されることがあります。
そのため、求職者は過去の経験から何を学び、どのように次に生かそうとしているのかを伝え、長期的に会社で活躍できる人材であることをアピールすることが重要です。
難しい質問に誠実に回答できるかを見ているため
採用担当者は、求職者が答えづらい質問に対して誠実かつ冷静に対応できるかどうかを見極めようとしています。
退職理由はネガティブな理由を含むことも多くありますが、その内容を前向きに伝えられる能力や、冷静に回答できるかどうかが重要なポイントとなります。
単に「残業が多かったから」などの一方的な不満ではなく、前向きな言葉で説明できれば誠実さを感じてもらえるでしょう。
難しい質問に対して落ち着いて対応し、適切で一貫性のある回答ができる人材であることを伝えられれば、採用担当者の信頼を得られます。
会社への理解度やマッチするかどうかを判断するため
転職理由を聞くことで、採用担当者は求職者が会社の事業内容な価値観をどれだけ理解し、いかに会社にマッチするかどうか見極めようとしています。
会社の事業内容や価値観をしっかりと理解している人は、自分が企業にどのように貢献できるかを具体的に伝えることができます。
また、退職理由が志望動機と一致するかどうかも重要なポイントです。
「残業が多かった」という理由の場合は「効率的な環境でよりスキルを発揮したい」のように伝えることで、応募先の環境と自分の目標がリンクしていることを示せます。
一貫した説明と企業への理解度の高さを示すことで、採用担当者に自社との適合度を感じてもらえる転職理由にできます。
「残業時間が多い」を転職理由で伝える際の工夫

転職理由はネガティブな理由であるケースが多いものですが、そのままで伝えてしまうのは悪い印象を与えてしまいます。
しかし転職理由の伝え方によっては、むしろ好印象を持ってもらえるアピールの機会にできるということは、ここまでの解説でも触れてきた通りです。
ここからは「残業時間が多い」を転職理由で伝える際にできる工夫について、前向きな言い換えを含めて3つ解説していきます。
「残業時間が多い」を転職理由で伝える際の工夫3つ
・ポジティブな言い方に変換する
・残業時間の数字を具体的に伝える
・残業時間短縮のために工夫したことを伝える
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
ポジティブな言い方に変換する
「残業を減らしたい」という理由はストレートすぎますが「効率的に働ける環境でより大きな成果を上げたい」と言い換えれば、成長意欲や仕事への取り組み姿勢をアピールする材料にできます。
また「ワークライフバランスを重視したい」と伝えたい場合なら、「仕事と生活の調和を図り、生産性を高めたい」のように言い換えることができるでしょう。
このように回答することで、単に休みが欲しいわけではなく、仕事においても高い成果を目指している姿勢を示せます。
ポジティブな言い換えは、採用担当者に「この人なら前向きに働いてくれる」という期待を感じてもらうための大切なテクニックです。
転職理由を環境への不満で終わらせてしまうのではなく、自分がどう働きたいのか、という意欲や未来のビジョンを表現できれば、好印象を与える機会に変えられるでしょう。
残業時間の数字を具体的に伝える
退職理由を伝える際には、具体的な残業時間を数字で示し、説得力を持たせるように工夫しましょう。
例えば「月に60時間以上の残業が半年以上続いていた」というように明確な数値を挙げると、状況の深刻さを客観的に伝えられます。
このように事実を具体的に示すと、採用担当者への感情的なアピールではなく、冷静に状況を説明しているという印象を与えられるでしょう。
状況を過度にアピールするのではなく、あくまで事実をベースに感情的に伝えすぎないことがポイントです。
同時に、新しい職場での働き方に対する前向きな意欲を付け加えると、さらに良い印象を与えられます。
残業時間短縮のために工夫したことを伝える
転職理由を説明する際、ただ「残業が多かった」と伝えるだけではなく、残業時間を短縮するために行った具体的な取り組みを伝えることが重要です。
「業務の優先順位を見直し、重要なタスクから着手することで効率的に仕事を進めた」や「チーム内での業務分担を見直し、負担を分散させる取り組みを提案した」といった具体例を交えると、課題解決に積極的に取り組んだ姿勢をアピールできます。
また、工夫や努力の結果として得られた学びを踏まえ、新しい職場で生かしたい意欲を前向きに伝える志望動機を添えられれば、評価される転職理由にまとめられます。
残業が多いことが理由で転職する際の例文

ここからは、残業が多いことが理由で転職する際の転職理由の例文を解説していきます。
避けたほうがよい内容と望ましい内容を踏まえて、自分なりの転職理由を作成する際のヒントに生かしてみてくださいね。
残業が多いことが理由で転職する際の例文
・OKな例文
・NGな例文
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
OKな例文
「私が転職を考えた理由は、残業時間の多さによって自己成長のための時間を確保できなかったことです。
現在の職場では平均して月50時間の残業が続いており、スキルアップのための学習時間や新しい知識を習得する機会を持つことが難しい状況でした。
こうした状況を受け、業務効率化を目的に業務フローの見直しやマニュアルの作成、デジタルツールの導入を提案しましたが、いずれも大きな状況の改善には至りませんでした。
失敗を受けて試行錯誤をしましたが、会社全体の体質を大きく変えることに限界を感じ、労働環境を変えることを考えたことがきっかけです。
御社は効率的な業務運営を重視し、社員の成長を支援する環境が整っている点に魅力を感じています。
自身のこれまでの経験とスキルを生かして貢献しながら、より生産性の高い環境で自己成長を実現したいと考え、応募させていただきました」
NGな例文
「私が転職をする理由は、現職の残業時間の多さです。
現職は慢性的な人手不足が続いている上に、手作業で行う業務もいまだ多く、遅くまで残業しなくては業務が終わらせられない状況が当たり前になっています。
仕事を早く終えられた日も、上司が終業時間を過ぎても残っている状況で自分も帰宅しづらい雰囲気があり、結局残り続けなくてはならないという状態にも不満を感じておりました。
今後はプライベートを大切にしたいと考えており、ノー残業デーの導入や業務効率を業界でも早く取り入れている御社で働きたいと考え、このたび応募いたしました」
残業時間が理由の転職ならジョバディに相談を
残業時間が多いと、プライベートや休息に十分な時間を取れず、仕事でのパフォーマンスも下がってしまいます。
こうした状況が会社全体で常態化しているケースでは、自分の努力や工夫だけでは状況の改善が難しく、やがて心身に問題が起きるリスクもあります。
労働環境を改善するために転職を考えているという場合は、本記事での解説を参考に、「残業時間が多い」という理由をポジティブに評価してもらえるように役立ててくださいね。
「残業の少ない会社に転職したい!」
「自分のスキルを生かしてワークライフバランスも実現したい」
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